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2005年5月19日 (木)

『闇の守り人』上橋 菜穂子

4035402109闇の守り人
上橋 菜穂子

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チャグムを守り通したバルサは、自分の過去とむきあうため、また養父ジグロの供養のため、生まれ故郷のカンバル国へ二十余年ぶりにもどる。バルサの父は王の弟のはかり事のために殺され、バルサを助けたジグロは国宝を盗んだ国の敵としての汚名を着せられていた。黒い霧につつまれたカンバル国をバルサが救う。(偕成社紹介より)

守り人三部作の二作目。
血筋によって身分や人生が決まること。自分側の使用人だと思っていた牧童たちが、自分の嘘を見破ってしまうような能力を持ち、役割を担っていること。自分の住む国以外にも世界や人が存在すること。犯してはいけない領分が存在し、越えてしまった者は代償を負うこと。十五歳の少年の目を通して、見たままだけでない世の中の深さ、ルールが語られていく。この様子がある程度の客観性を保っていて、読んでいて気持ちいい。
バルサの持つ短槍の技が相手と絡む内にやがて<槍舞い>になるというくだりが、武道の本質をみるような、なんだかわかったような気分になる。けっこう戦闘シーンがイケる本だったりする。

一作目に続いて月着陸船さんにTBさせていただきました。
こちらでも触れられているティティ・ランの登場するシーンが詩的に美しい。
<大きい狩人><大きな兄弟><オコジョを駆る狩人>…、コロボックルシーリズの豆つぶほどの小さないぬが思いだされてなりません!

勢いで続けさせてもらうと、つい最近青い鳥文庫で出た本。

4061486837小さな人のむかしの話
佐藤 さとる

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納得できるけれどもどかしいような、切ないような、でも嬉しい文庫版の後書きがついてる。

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コメント

あー、戦闘シーンがイケるという意見は同感です。
男女の力の差や身体の部位の「ここを損傷するとこうだ」という身体性をきちんと踏まえて、でもさりげなく書いてあるところにもちょっと感心しました。

投稿: nao | 2005年5月19日 (木) 15時06分

naoさん
この本以降もバルサはがしがし戦って、激しく傷ついてますね。
ちゃんと傷ついて、治療してのちの回復。
この過程がきちんと描かれているので、好感が持てます。

投稿: suminiya | 2005年5月21日 (土) 15時47分

TBしまくりですみません。。
しかし、そうそう!コロボックル!!近いですね~。
新刊も出ていたのですね!思わず買ってしまいそうな・・・

投稿: kumanomi_s | 2005年6月22日 (水) 15時13分

kumanomi_sさん
TBありがとうございまーす。
しかしこの後の本は返却してしまってレビューを書いていないのです。
<無精者。

新刊といっても文庫版ですが…。
続きについてのコメントが後書きにありました。

投稿: suminiya | 2005年6月28日 (火) 17時38分

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» 「闇の守り人」 上橋菜穂子 [Diary of 食・飲・読・旅・潜・泊]
久しぶりに故郷のカンバル王国に戻ってきた女用心棒のバルサ。幼い日、カンバル王に父を殺されたバルサは、父の親友ジグロに助けられ、故郷を去ったのだ。そのためにジグロに着せられた汚名をバルサは命懸けで晴らそうとする。(内容紹介より) バルサの次の話。 これもおいしそうなものがいっぱい♪・・・いや、それからはじまるのではなくて・・・ 個人的にはティティ・ランにもうちょっと出てきて欲しかったよー・・・いや、そういう萌え話ではなくて・・・ 今回もバルサは守り人なのですが、前よりも子供に教えられて... [続きを読む]

受信: 2005年6月22日 (水) 15時08分

» 「闇の守り人」上橋菜穂子 [図書館で本を借りよう!〜小説・物語〜]
「闇の守り人」上橋菜穂子(1999)☆☆☆☆★ ※[913]、国内、ファンタジー、児童文学、冒険小説、女用心棒バルサ、守り人シリーズ 運命は、自分で選び、勝ち取ること。 陰謀に巻き込まれた幼いバルサの命を守るため、バルサを連れ故郷を捨てた、今は亡き養父ジグロ。彼らを追う旧王も今は亡い。ジグロの氏族の間だけでも、彼のの本当の姿を知ってもらい、彼の汚名を晴らそうと、バルサは生まれ故郷であるカンバルを訪れることにした。その途上、暗闇の洞窟で出会った兄妹、彼らを守るために闘った洞窟に..... [続きを読む]

受信: 2005年8月23日 (火) 18時07分

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