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2005年6月10日 (金)

『蒲公英草紙』恩田 陸

4087747700蒲公英草紙―常野物語
恩田 陸

by G-Tools

常野物語二作目。時代は明治、二十世紀になったばかりの頃。集落の大地主の娘のお相手に通っていた峰子は、そこでお嬢様の聡子をはじめその家族やある日訪れた「常野」の一族とも出会う。集落の日常や風習、人々の生活と共に語られる、あの美しい夏の記憶。

本屋対象&吉川英治文学新人賞受賞後初の小説って微妙な表現。初出は2001年なんだけど…。
『光の帝国』に出てきた人たちのその後が読めないことに残念なに思いつつも、「響く」「しまう」「遠見」などの言葉にグッときてしまう。ただ、常野物語というより、聡子の物語のような気もする。

※以下、未読の方はご注意ください。

聡子や常野の人たちは孤高(集団ではあっても)に美しく迷いもなく、泣ける。
反対にとりまく人々の背景や語りべの峰子についてはあまり解決がみられないまま本が終わる。光比古が「僕たちは峰子さんだよ」と答えている。峰子の最後の問い掛けは誰に向けてのもの?常野の人たちの奇跡の力を見た彼らや峰子たち常野に交わりのない人にこそ、進むべき道を自ら見い出してほしかった。

なんだかんだでいろいろ考えちゃう、魅力的な設定のお話。
でも、『光の帝国』と違って、なんども読み返せないな。

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コメント

こんばんは。

コメントとTBありがとうございました。

suminiyaさんの率直な感想、いいですね。
特に後半部分は私も心のどこかで感じていたことらしく、読ませていただいて「ああ、そうだなあ」ととても納得できました。

TBポリシーもシンプルでいいですね(^^)
私も結局言いたいことはこのくらいのことなのかも知れません。
こちらこそ参考にさせて頂きますね。

※こちらからもTBさせていただきました。

投稿: tako | 2005年6月10日 (金) 22時36分

takoさん
いつもtakoさんのブログの情報や問題提起にお世話になっているのです。ありがとうございます(^^)
『蒲公英草紙』の前半も面白く、永慶のエピソードも印象深かったのですが、それもラストで吹っ飛んでしまいました。読んだ後そのまんまの感想になってますね…。

投稿: suminiya | 2005年6月11日 (土) 13時06分

TBさせていただきました。
お話自体は楽しんで読んだのですけど、最後がなあ、なんて私もちょっと思いました。
小説の問いかけというのは、文章から立ち上がるものを読み手が受けとる、という形でやってほしいです。
sumiさんがおっしゃるような風にも出来るんじゃないかと思ってしまいました。
雰囲気づくりはあいかわらずうまいですね。

投稿: nao | 2006年5月 3日 (水) 10時10分

naoさん
TBありがとうございます。
>小説の問いかけというのは、文章から立ち上がるものを読み手が受けとる、という形でやってほしいです。
ええ、そうです!
あのラストはちょっと方向が違いますね。
作者は伝えきれないことに恐さもあるでしょうが、読者としては感じ取り読み取る余地を与えてほしいところです。
わたしたちの世代には想像もつかないような悲惨な状況とはいえ、あの問いかけはそれまで暮らしてきた日々までもが空しくなってしまいます。
恩田さん、ラストが嵌る時は素晴らしいんですけど…、情念に流されがちな時もままあったりして。なんてったって『劫尽童女』(笑)

投稿: sumi | 2006年5月 4日 (木) 12時29分

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