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2005年7月22日 (金)

『夜のピクニック』恩田 陸

4103971053夜のピクニック
恩田 陸

by G-Tools

夜を徹して八十キロを歩き通す、高校生活最後の一大イベント「歩行祭」。三年間わだかまっていた想いを清算すべく、あたしは一つの賭けを胸に秘め、当日を迎えた。去来する思い出、予期せぬ闖入者、積み重なる疲労。気ばかり焦り、何もできないままゴールは迫る——。ノスタルジーの魔術師が贈る、永遠普遍の青春小説。(新潮社紹介)

しんどい「歩行祭」が「修学旅行」よりずっといい、というくだりがあって、納得させられてしまう。実際にこういった行事は各地であるようだし、以前TVで槍ヶ岳を一泊二日かけて登頂する中学のドキュメントをみて、その準備、行程の大変さに伴う達成感は羨ましいようだった。
夜通し続くお喋りと、肉体の疲労や痛みで散漫になった思考が実は真実を語る瞬間(疲れすぎて深慮する余裕がない)、友人に対する愛情が積み重なり、道のりと話の終わりにむかってどんどんスパートをかけてゆく。
『六番目の小夜子』と同じく、恩田さんは高校生の空気感をとらえて描写するのが本当にうまいと思う。

恩田さんの本の中ではかなり好きな部類だ。
でも超!個人的な理由による感想。

前評判がかなりいいので妙に期待して読んでしまい、不満に思うことはなかったけれどやや拍子抜けした。
要となる貴子と融の関係のせいだと思う。
二人は同い年の異母きょうだいというなんとも残酷な設定。
きちんとその背景や現状なども説明されているのだけど通り一遍、ありがちすぎてちょっと現実味がない。
いつもの恩田さん作品のように美男美女揃いであることもあいまって、かなりのメルヘン。
直接、間接に同じような経験をしている人はいないわけではない。
そういうわけで、世知辛さや厳しさが欠落しているように感じられて爽やかに演出されたゴールがあまり響いてこなかった。

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