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2006年2月11日 (土)

『博士の愛した数式』小川 洋子

博士の愛した数式博士の愛した数式
小川 洋子

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「私」とその息子と、そして博士。
三人に用意された時間は、さらさらと砂時計のように流れてゆく。
そのこぼれきった砂が形作ったのは、博士のための美しい世界。
かたくなな義姉は過去に伝えられた想いとそこで止まった時間だけを支えに、三人の世界には立ち入ろうとはしない。ただその美しさを眺めることのみを受け容れる。

三人にとっての世界は、まったくメルヘンかファンタジーかというようなものだ。
重要なのは、いち早く世界を信じて守ろうとするのが子供であること。彼の考えは彼自身を裏切らずまっとうされ、終盤では更に美しい世界に厚みを加えている。そして江夏!彼が登場することで、あやうい世界は現実から逸脱せずに持ちこたる。文章は数式とともに美しく並べられ、遅滞なく美しい世界をみせてくれた。

以前、小川さんの作品はエグすぎて(悪い意味でなく…、うまさゆえ)挫折したことがあって、このくらいの味つけが自分にはちょうどいい感じ。「本屋大賞」「記憶障害」「映画化」となんだか俗っぽく感じるけれど、それで忌避してしまうのはもったいない作品。
文庫の解説は数学者の藤原正彦氏で、ずいぶんと嬉しそうに書いてらしているのが失礼ながら微笑ましい。

遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス
藤原 正彦

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おそろしく数学は苦手なので、過去にこの本を手に取っていたこと自体が奇跡。
「数学も(世の中の為には)重要らしい」とかなんとか思ったような。でもやっぱり学者さんてたいへん。

ところで、若者が年長者を野球場に連れてゆく構図って、人を惹きつける何かがあるのかしらん。

フィールド・オブ・ドリームスフィールド・オブ・ドリームス
ケビン・コスナー フィル・アルデン・ロビンソン エイミー・マディガン

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有名すぎる作品。年長者は作家(原作ではサリンジャー)。
原作も読んだけど、映画の脚色が素晴らしい。

小説家を見つけたら小説家を見つけたら
ショーン・コネリー ガス・ヴァン・サント ロブ・ブラウン

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こちらも年長者は伝説的作家。主に絡んでくるのはバスケだけど。
映画の字幕は「?」なことが多く、読んでみたノベライズがわりと良かった。

というわけでこの構図、自分にとっては三作目の当たりだった。

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コメント

最近数学本、多いですよね。一度読んでみたいとは思っていたのですが、そうですか、良いですねぇ・・・次回探してみます。

投稿: kumanomi_s | 2006年2月13日 (月) 22時57分

kumanomi_sさん
この前みた映画も数学者が題材でした。
妙に売れてしまったのですが、小品といった印象です。
映画化もされてますが、CMをみるにつけ、
あんまり観たいと思わない(笑)

投稿: sumi | 2006年2月15日 (水) 14時24分

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