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2006年4月25日 (火)

『夜市』恒川 光太郎

夜市夜市
恒川 光太郎

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大学生のいずみは、高校時代の同級生・裕司から「夜市にいかないか」と誘われた。裕司に連れられて出かけた岬の森では、妖怪たちがさまざまな品物を売る、この世ならぬ不思議な市場が開かれていた。夜市では望むものが何でも手に入る。(〜以下略、Amazon紹介より)

日本ホラー小説 大賞受賞作。まず出だしが素敵なのでこの時点で作者の術中に嵌ったようなものである。夜市の開催を伝えるのが学校蝙蝠なんて言われてしまったら…、もう大期待。邦画ホラーの常套手段である脅かしはなくて、目に映る情景(=映らないはずのものでもある)を淡々と描写、後半に繋がる伏線を丁寧に仕掛けてゆく。とてもよくできたパズルで、大賞の選考委員たちはべた褒め。あんまりぴったりはまるので、自分的には逆に想像の余地がなくて受け容れるだけ(若干平坦な印象)になってしまったのだけど…。
「夜市」だけでなく、併録「風の古道」も素敵な作品。非道な人間が登場し、むごい状況を描きつつも汚らしくならない。ぬれ落ち葉が降り積もった山道を歩くような、闇と風と湿度を間近に感じる文章。友人とのエピソードがもの凄く効いていて、結構な結末なのに、読後感が悪くない。
二作ともかなり出来上がった作品で、作者の方向性がくっきり見えた気もするのだけれど、今後どのように裏切ってくれるのかが楽しみでもある。

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コメント

おー、なんかものすごくそそる内容紹介ですねー。
妖怪がものを売る夜市なんて・・・その開催を伝えるのがそれなんて・・・それだけでくらくらきてしまいます。
まずはそのできあがった作品を読んでみたいです。探しみますー。

投稿: kumanomi_s | 2006年5月 1日 (月) 23時16分

kumanomi_sさん
やっぱり?(笑)
日本的な湿り気を感じられる本です。読んでみてくださーい。
もう一遍ぐらい収録されていたら大満足なんですけどね。

投稿: sumi | 2006年5月 2日 (火) 19時38分

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