2006年5月27日 (土)

『陽気なギャングの日常と襲撃』伊坂 幸太郎

陽気なギャングの日常と襲撃陽気なギャングの日常と襲撃
伊坂 幸太郎

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人間嘘発見器・成瀬、演説の達人・響野、天才スリ・久遠、正確無比な体内時計の持ち主・雪子。史上最強の天才強盗4人組が巻き込まれたバラバラな事件。しかし…。「陽気なギャングが地球を回す」に続く第2弾(「MARC」データベースより)。

最近の伊坂さんはおっかないところもあるので、「終末のフール」は手が出せずにいた(だって舞台設定がすでにおっかない…)。これはすんなり。ノベルズサイズがぴったりのシリーズにしてくれて嬉しい。章ごとの冒頭につく言葉の解説や、表紙も楽しいし。フランスパン喰って牛乳牛飲してるよ!
一章目と二章目からの趣ががらりとかわるのは、後書きに解説してある通り(そして後書きにあるように、前作のかなり重要なネタばれがあっさり書かれているので順番は守らないと危険)。その一章目は四人組以外の視点で語られていて、これがけっこう楽しい。成瀬(どんな公務員か)、雪子(アルバイトに何をやっているか)がからむ話が好きだなあ。ちらばったエピソードが鮮やかに集束していくあたりはいつもの伊坂作品。他愛のない会話に含まれていたことが当たり前のように重要な鍵になっていくのは、本当に感心する。逆に言えば、韜晦させるのが如何にうまいかということだろうけど。
自分にとってはお楽しみ本なので、このぐらいの雰囲気でまた続きを出してくれればと思う。今回あまり出番のなかった祥子、慎一、タダシくんあたりの様子をみたい。
映画はどうしようか…、くどくない作りだといいんだけど…。

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*second message*さんにTBさせていただきます。雪子についても言及されてます。

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2006年4月25日 (火)

『夜市』恒川 光太郎

夜市夜市
恒川 光太郎

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大学生のいずみは、高校時代の同級生・裕司から「夜市にいかないか」と誘われた。裕司に連れられて出かけた岬の森では、妖怪たちがさまざまな品物を売る、この世ならぬ不思議な市場が開かれていた。夜市では望むものが何でも手に入る。(〜以下略、Amazon紹介より)

日本ホラー小説 大賞受賞作。まず出だしが素敵なのでこの時点で作者の術中に嵌ったようなものである。夜市の開催を伝えるのが学校蝙蝠なんて言われてしまったら…、もう大期待。邦画ホラーの常套手段である脅かしはなくて、目に映る情景(=映らないはずのものでもある)を淡々と描写、後半に繋がる伏線を丁寧に仕掛けてゆく。とてもよくできたパズルで、大賞の選考委員たちはべた褒め。あんまりぴったりはまるので、自分的には逆に想像の余地がなくて受け容れるだけ(若干平坦な印象)になってしまったのだけど…。
「夜市」だけでなく、併録「風の古道」も素敵な作品。非道な人間が登場し、むごい状況を描きつつも汚らしくならない。ぬれ落ち葉が降り積もった山道を歩くような、闇と風と湿度を間近に感じる文章。友人とのエピソードがもの凄く効いていて、結構な結末なのに、読後感が悪くない。
二作ともかなり出来上がった作品で、作者の方向性がくっきり見えた気もするのだけれど、今後どのように裏切ってくれるのかが楽しみでもある。

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2006年4月16日 (日)

『古道具 中野商店』川上 弘美

古道具 中野商店古道具 中野商店
川上 弘美

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『古道具』『骨董』と出てくるとつい品物たちにまつわるお話に期待してしまうのだけど、そういう本ではナイ。曇りと小雨の続くお天気のようなあいまいな空気感でじんわりと進んでゆく。主となるのは現実味の薄い「若者二人の恋愛」「さえない店主と愛人関係」と、あり得るかもしれないけれど「店主の姉と愛人」。とにかく三つともぜったいにしたくない恋愛の形であった。空虚な恋愛に対して、作者の川上さんは男女のからだの交わりについてかなり固執しているようで、行為についての考え方や経験、シチュエーションなどが列挙されていて、モロな描写よりある意味キツイ(他人のセックス観なんて、酒の席でも聞きたいもんじゃないよな〜)。読みやすさのわりに、後味に妙な空しさ重たさが。
で、ネットで探してみると、そんな感想を持った人はあんまりないらしい。ふんわりゆったり淡々とした幸福感…あたりがキーワードのようである。実は「センセイの鞄」を読んだ時にもこの本と同じような感想を持ったのだけど、うがちすぎなんだろうか、自分?

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2006年3月29日 (水)

『雨柳堂夢咄 其ノ十一』波津 彬子

雨柳堂夢咄 其ノ十一雨柳堂夢咄 其ノ十一
波津 彬子

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まだまだ落ち着きませんが、引っ越して良かったことがひとつ。駅前の本屋さんが、24時までやっているんですねー。ある意味気をつけないとヤバーいのですが。

とはいえ、そのお店で初めて購入したのはマンガでした。二年ぶりの新刊だそうで。波津さんの作品は姉の影響で読み始めて長いのですが、女性の顔のエラの張りがなくなり、ついにこの新刊に出てくる動物(半動物?)は可愛らしさいっぱいになりました(ともするとリアルで恐ろしい猫、狸たちだったので…、でも狐は可愛かったか)。

425317471X四季つづり
花郁 悠紀子
秋田書店 1999-10

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夭逝した漫画家、花郁 悠紀子さんは波津さんのお姉さんです。実は絵がそっくり(骨格のあるなしの差はあれど)。波津さんはお姉さんのことに触れる際は本名の「開発」さんに戻られることが多いようです。仲良く「花郁」さんと「波津」さんで名字をわけているのが素敵。花郁さんのすみずみまで神経の行き届いた作品は、今も古びません。

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2006年3月 1日 (水)

『沼地のある森を抜けて』梨木 香歩

沼地のある森を抜けて沼地のある森を抜けて
梨木 香歩

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始まりは「ぬか床」だった。先祖伝来のぬか床が、呻くのだ。変容し、増殖する命の連鎖。連綿と息づく想い。呪縛を解いて生き抜く力を伝える書下ろし長篇。<Amazon紹介より>
というか、初めの一章を読んでこちらが呻いてしまった。「うまいなあ…」。どろどろした状態、状況を綴っても涼やかな文章。日常の中にぽんと非日常を放り込んで、過去の謎やわだかまりを溶いてゆく。見事に完結しているので、むしろその後の章の構成が受けいれにくかった。「性」や「性差」を排する、あるいは越えることを語るのは難しい。鼻につかないギリギリなところ。にしても、自分の「種としての性」について本能以外を持たない人には何が論点なのか意味不明なのではないかと。

梨木さんが帯の推薦文を書いている本。

私の部屋のポプリ私の部屋のポプリ
熊井 明子

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30年ぶりの復刻だそうで。一世を風靡したんだよなあ、ポプリって。
小学生の頃手に取って、高尚すぎてさっぱりわからなかった覚えが(笑)もいっかい読んでみるか?しかし旦那さまはすっかり映画監督(熊井啓氏)として大成されましたねえ。まだ助監督の頃に大暴れしていた様子が印象深い(この本だっけ?)。

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自分がこの本を図書館から借り出した頃に読後感想をアップされていた、Diary of 食・飲・読・旅・潜・泊さんにTBします。

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2006年2月18日 (土)

『黄昏の百合の骨』恩田 陸

黄昏の百合の骨黄昏の百合の骨
恩田 陸

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「麦の海に沈む果実」続編。
遺言により、留学先のイギリスから戻り、亡くなった祖母の洋館へ〜人々に「魔女の館」と噂される〜やってきた水野理瀬。年上の従姉妹二人との生活が始まり、事後処理のために従兄弟の二人、稔と亘もそこへ訪れる。

恩田さんて、タイトルつけるのうまいなあ…。
しかしながら前作に比べ、たいそう緊張感に欠けていた。理瀬はその魅力やキレが描き込まれていないため、むしろのんびり屋さんになってる?自分から去ってしまった子供時代に哀切を感じているかと思えば、女の武器を出し惜しみしなかったり(このくだりはかなり陳腐で笑ってしまう)。その落差がただの行き当たりばったりに見えるので…。
理瀬、そんなことじゃ「敵」には勝てんぞ。
このシリーズは、まだ材料を並べて調理し始めたところのようである。

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2006年2月11日 (土)

『博士の愛した数式』小川 洋子

博士の愛した数式博士の愛した数式
小川 洋子

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「私」とその息子と、そして博士。
三人に用意された時間は、さらさらと砂時計のように流れてゆく。
そのこぼれきった砂が形作ったのは、博士のための美しい世界。
かたくなな義姉は過去に伝えられた想いとそこで止まった時間だけを支えに、三人の世界には立ち入ろうとはしない。ただその美しさを眺めることのみを受け容れる。

三人にとっての世界は、まったくメルヘンかファンタジーかというようなものだ。
重要なのは、いち早く世界を信じて守ろうとするのが子供であること。彼の考えは彼自身を裏切らずまっとうされ、終盤では更に美しい世界に厚みを加えている。そして江夏!彼が登場することで、あやうい世界は現実から逸脱せずに持ちこたる。文章は数式とともに美しく並べられ、遅滞なく美しい世界をみせてくれた。

以前、小川さんの作品はエグすぎて(悪い意味でなく…、うまさゆえ)挫折したことがあって、このくらいの味つけが自分にはちょうどいい感じ。「本屋大賞」「記憶障害」「映画化」となんだか俗っぽく感じるけれど、それで忌避してしまうのはもったいない作品。
文庫の解説は数学者の藤原正彦氏で、ずいぶんと嬉しそうに書いてらしているのが失礼ながら微笑ましい。

遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス
藤原 正彦

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おそろしく数学は苦手なので、過去にこの本を手に取っていたこと自体が奇跡。
「数学も(世の中の為には)重要らしい」とかなんとか思ったような。でもやっぱり学者さんてたいへん。

ところで、若者が年長者を野球場に連れてゆく構図って、人を惹きつける何かがあるのかしらん。

フィールド・オブ・ドリームスフィールド・オブ・ドリームス
ケビン・コスナー フィル・アルデン・ロビンソン エイミー・マディガン

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有名すぎる作品。年長者は作家(原作ではサリンジャー)。
原作も読んだけど、映画の脚色が素晴らしい。

小説家を見つけたら小説家を見つけたら
ショーン・コネリー ガス・ヴァン・サント ロブ・ブラウン

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こちらも年長者は伝説的作家。主に絡んでくるのはバスケだけど。
映画の字幕は「?」なことが多く、読んでみたノベライズがわりと良かった。

というわけでこの構図、自分にとっては三作目の当たりだった。

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2006年2月 4日 (土)

畠中恵さんのインタビュー

エキサイトブックスに。
んー、購入には至ってないのですが。
この方の現代物は未読です。

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2006年1月27日 (金)

『女二十九歳、とつぜん骨董にハマる』高橋 文子

女二十九歳、とつぜん骨董にハマる女二十九歳、とつぜん骨董にハマる
高橋 文子

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早起きが苦手にもかかわらず、市があると思えば朝4時起きも平気。今日は川越、明日は高幡不動。すてきな古伊万里が私を呼んでいる—。近所の陶芸倶楽部に通いはじめた女性が、骨董集めにも開眼。お金も知識もないが、お気に入りの皿や鉢を追い求めて、毎週のように各地を駆けめぐる。見ても使っても楽しい器の味わい深さや、愉快な出来事、人々との出会いなど、「骨董のある生活」の楽しさがたっぷりと詰まった爽快エッセイ(Amazon紹介より)

作者の高橋文子さんは、古伊万里好き。ひたすら好きなものを買い集め、普段使いをする様が語られてゆく。本のなかほどにコレクションの一部写真が載せられていて、どれも親しみやすく愛嬌のある品。けっこう無理無理な(値切って!ローンで!通りすがりの人に頼み込んで!)人だなあと思うけれど、桁違いの世界ではないようなのでだいじょうぶなんだろう。
今は骨董熱というか古伊万里熱は冷めて、他のものに夢中のようだ。まあ本の中身にも深みや厚味はないので、そんなものかな(収穫した品々と自分の突飛な行動の自慢がほとんどだし。逆に言えば、それで本として成立しているという…)。いかにも女性的な夢中っぷりが楽しそうではある。身近な人だとしたら、困ったちゃんだけど(笑)

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2005年12月31日 (土)

『エンド・ゲーム』恩田 陸

4087747913エンド・ゲーム
恩田 陸
集英社 2005-12

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2005年の締めはこの本、営野物語三作目。
まっとうに、「オセロ・ゲーム」の瑛子と時子の続きの話で嬉しい。
おお、そう来たか!
瑛子と時子が夫、あるいはお父さんを待ち続けた年月に比べれば短いけれど、けっこう何年も騙されてたんだなあ。
新たに「包む」「洗濯屋」の言葉が。わくわくする。

「オセロ・ゲーム」からの伏線はともかく、「エンド・ゲーム」内での伏線はいささか未消化だし、終盤は文章自体が駆け足で散漫というか甘いような気もするけれど、『光の帝国』のあとがきでの約束が果たされたことに感謝!そんな気持ちになってしまう設定なんだから仕方ないよなあ。
まだ残っている約束を待ちつつ、また来年!

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2005年12月16日 (金)

『小説以外』恩田 陸

4103971061小説以外
恩田 陸

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まえがきにある通り、小説以外を集めたエッセイ集。
テーマをもっての執筆ではないので、あらゆる原稿が集められ、潔く(ほぼ)発表順に並んでいる。

本を読んでマンガを読んで、映画を観て。
勉強して働いてビールを飲んでうまいもん食べて。
夜中にのたうちまわって明け方呆然とし。
…恩田さんのペースは、それこそ幼い頃からあまり変わっていないように思える。
抱え込みテンパり型?
でも端から見れば、「それだけ充実しているならいいじゃない〜」といったところ。

それにしてもさすがの読書量である。
本読みの愛情を示す「本屋さんにあれば……」。
新古書店についての不快感が書かれていて(でも便利)、共感。そして締めが丁寧語になっているところが可愛らしい。
あと、おかしかったのは「『ネバーランド』ドラマ化に寄せて」のコメント、『高島礼子なら××』(その通りだ!)、「バーチャル飼い主」茶色っぽい、耳の長い、平べったくせかせか歩く犬〜が何に似ていたか。
たべものについての記述は気負いがなくて楽しく読める。
本読みの習いで、あの本やこの本の料理が食べたくってトライしてという話。
その他にも料理に対する執着が見え隠れ。オイルサーディンの缶をそのまま火に掛けて醤油をかける、なんて確かに旨そー。

夢中で読み切るような本ではないけれど、恩田さんの傾向と対策のためには興味深いし、笑える部分もあちこちに。恩田さんファンにはお薦め(逆に恩田作品未体験者にはお薦めできない)。

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2005年12月 9日 (金)

『スローグッドバイ』石田 衣良

4087478165スローグッドバイ
石田 衣良

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『1ポンドの悲しみ』に続けて恋愛短編集を読んでみた。二十代の男女が主人公。

きゃーすかしちゃってもーう!たまりませんわ〜。
微苦笑しつつも、読めてしまうのは、文章力なのでしょうか。調子さえ合わせられればさらりと流れるままに。

登場の時は漢字だった名前も二度目からはカタカナ名前(青治ならセイジ)になるというルールも、慣れればちっとばかしムズカユイぐらいで。みょうな部分がひらがなであることもるーるるーる。
舞台の場所や身につけるアイテム、横文字の食事内容の固有名詞やブランド名が執拗なほどに羅列されるのは、借り物の符号で自己を確立させようとする二十代のリアルな表現なのだろうか?るるるるる?
(きのうタワーカフェでたっぷりのミネストローネがついたブランチがてら待ち合わせしたクリスマスカラーの取っておき輸入ランジェリーを身につけた彼女と泊まったホテルのシーツのほのかなハーブの香りを移したお気に入りヴィンテージジーンズにワークブーツを合わせて約束の銀座の北欧へ向かうためボブ・マーリーを聴きながら黄色のベスパでマリオンの前を通り過ぎるぼくの姿はまあまあだと思う、みたいな…?いやこんなひどい文は作中どこにもありません)
女性よりも性欲が強く、でありながらロマンチストな男性(わりとよく泣く)、オされなアーバンライフ〜、自分の知らない世界を垣間みることのできる本でありました。共感には至らないということでもありますが。
…どうも感想を綴っているとついおちゃらけてしまうのですが、けっこう楽しかったです。次に同じようなコンセプトの本が刊行されたら読むでしょう。

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2005年12月 7日 (水)

Mac OS X Server v.10.4運用ガイド

 0764

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佐野 章浩 米田 聡
九天社 2005-11

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いきなりいったいなんじゃらほい。
わたしの友人の著作です。凄いなー。
(内容はさっぱりわからんのだけど)
「部屋でApple純正モニタ使ってTVみるにはどうしたらいーい?」
などという低レベルな質問にも懇切丁寧に答えてくれてありがとう(笑)
これから本屋で平積み移動襲撃してくるぜ。

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2005年11月26日 (土)

『おまけのこ』畠中 恵

4104507040おまけのこ
畠中 恵

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しゃばけシリーズ第四弾。五篇収録。
裕福な生まれ育ちの若だんなより、その周囲のにいるそれぞれの境遇を生き抜く人々のお話が胸に落ちてくる(いや、若だんながどうこうではなく…、物理的に動けないわけだからその他の人たちの働きが目に留まるわけで…)。
とはいえ、今回は表題作『おまけのこ』鳴家の大冒険につきる。きゅわわわわぁ〜っ!
鳴家たちが並んで、住まっている家を軋ませている様子が可愛い。ぎしぎし。
ぎゅわーっ!に対する若だんなの対応がとっても素敵なお話。

『こわい』の狐者異は、興味深い妖だ。ラストの描写なんか、身につまされてまさに怖い。『おまけのこ』に出てくる川の主にはささやかでも見返りが必要だし、このシリーズの馴れ合わない部分、身分制度(建前ではなく実際の上下)のせちがらさなどのやや突き放したところがわりと好き。そうそう思い通りにいかない世の中を、どう渡っていくか。若だんなや栄吉の前途は厳しそうなので、がんばってほしい。

あとは要望めいたものなので…。

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2005年11月15日 (火)

『1ポンドの悲しみ』石田 衣良

40877468951ポンドの悲しみ
石田 衣良

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初めて出会った二人、一度は別れた二人、現在進行形の二人〜、三十代の男女の恋愛を描く短編集。
恋愛年齢が上がってくると、生活や肉体面をひとつの要素に数えることに自然と躊躇なくなる。そんなシチュエーション。

初石田 衣良作品。どうもこういう邪道なことをしてしまう自分…、映画だとリュック・ベッソンは「フィフス・エレメント」だけ、ブラッド・ピットは「トゥルーロマンス」「スナッチ」しか観てない(←主役じゃないし)。
生活感はありつつも現実味には乏しいのだけど、あまり湿度のない空気が気持ちよく、さらりと読むならこのぐらいでいい。濃密な空気を楽しみたいなら、他の本を読めばいいわけで…。
この本がお気に入りになるかどうかは、作者の重要視する要素である、酒や肉体面での結びつきを同じ価値観で受け取れるか。ぴったりではなくとも客観的に楽しめたことで、大人に近づいた自分を見出したんである(なんちゃって)。
この本を紹介してもらったkumanomi_sさんと同じく、「デートは本屋で」がいちばん好き。書見台を自分の部屋に持ってる女性が主人公だよ(笑)

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2005年10月13日 (木)

『黒いモスクワ―ST警視庁科学特捜班』今野 敏

4062739305黒いモスクワ―ST警視庁科学特捜班
今野 敏

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ロシアの捜査当局と情報交換のために急遽出張せよ—。モスクワに到着した警視庁科学特捜班、通称STの百合根と赤城を待ち構えていたのは、ロシア正教会で起きたマフィア怪死事件だった。さらに、日本人フリーライターも変死して…。STシリーズ第3弾。(Amazon紹介より)

ありゃりゃ、シリーズ第3弾から読んじまったい。しかも今野作品は初めてだったのに…。
警視庁科学特捜班、メンバーは赤城、青山、翠、山吹、黒崎(+百合根)。は、はずかしい、ゴレンジャーですか?桃レンジャーは所長のおっさんですか?独立独歩なゴレンジャーというのは新しい。あろうことかブラックは除隊するかもしれない雲行きだし。
そんなケレンのわりに淡々と定石通りヒント通りに話が進んでゆく。披露される知識も感心するほどのものではない。視点がゴレンジャー以外の幾人か(どれもあまりキャラがたっていない)で移り、誰を軸にして読めばよいのか戸惑ってしまう。
ゴレンジャーについてはそれぞれ特異な性格設定が与えられているのだけど、意外性に欠ける。黄レンジャーはトンカツも食べるんですか!青レンジャーの好物はサムゲタンですか!的な。
作者ご本人に武道の嗜みがあるようで、その辺りの臨場感は細かい。が、作品全体の文章に漂う武骨感が勝ってしまう。捜査していてもコミカルな面でもなんとはなしに、ぶっきらぼー。武道的には力まず気は穏やかに、でも緊張感を持ってというのが望ましいかもしれないけれど、小説の主要登場人物が軒並みそんな状態だと、もうちょっとめりはりが欲しくなる。ラストのやけっぱちSATリーダーのあたり、けっこう面白いんだけど。

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2005年9月21日 (水)

『ロマンス小説の七日間』三浦 しをん

4043736010ロマンス小説の七日間
三浦 しをん

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あかりは海外ロマンス小説の翻訳を生業とする、二十八歳の独身女性。ボーイフレンドの神名と半同棲中だ。中世騎士と女領主の恋物語を依頼され、歯も浮きまくる翻訳に奮闘しているところへ、会社を突然辞めた神名が帰宅する。不可解な彼の言動に困惑するあかりは、思わず自分のささくれ立つ気持ちを小説の主人公たちにぶつけてしまう。原作を離れ、どんどん創作されるストーリー。現実は小説に、小説は現実に、二つの物語は互いに影響を及ぼし、やがてとんでもない展開に!注目の作家、三浦しをんが書き下ろす新感覚恋愛小説。(Amazon紹介より)

三浦しをんさんの作品は気になっていたのだけど、以前「私が語りはじめた彼は」の抜粋を読んで「こ、こわそう…」(なんか眼球が乾いてひっつくような描写)と。この本なら読めるかなあと、手に取ってみた。
現実と主人公の翻訳しているロマンス小説が交互に展開し、あろうことかロマンス小説は翻訳ではなく主人公の欲求不満のはけ口となって創作されてゆく。
ありえないよ!クビだよ!(笑)
でも現実もロマンス小説世界も話そのものは他愛もないので、何がこの本の特色かといったらやはり「翻訳小説の創作」なのだ。創作させるだけのストレスが主人公にはあるわけで、だとしたら構造的には成立してるのだろう。ものすごーく違和感があって、おかげで主人公に共感できなかったけど(だってすっげえ傲慢なことをしてるわけだし)。

笑ったのは<体毛>の描写について。本国ではセックスアピールとなる体毛は、日本ではなかなか受け入れがたい面があるため、意訳をする必要があるんだそうだ。以前原書ではファンタジーやドラキュラものばかりを読む知人が語彙を増やすためにロマンス小説を読んで(棺桶やら燭台やらはすぐわかるけれど、一般的な用語が抜け落ちるらしい)、「ふかふかとした彼の胸毛に顔をうずめた」とか書いてあると身悶えしていたことを思い出した。確かにピンとこないわな。

軽いタッチの本だったけれど、他の著作の紹介を読むとなかなか有望そうな作家さん。ハマるひとにはたまらなさそう。

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2005年9月 8日 (木)

『最後の願い』光原 百合

4334924522最後の願い
光原 百合

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個人情報を買う誘いの電話。
何も盗らない睡眠薬強盗。
見知らぬ女性からの不審な電話。
不可解な事件の数々が絡み合い、行き着いた答えは——。
話を聞いただけで事件を(ほぼ)解決する、小劇団の演出家兼俳優、度会恭平。
都会の若き安楽椅子探偵、登場! (光文社紹介より)

うーん?
光原さんの作品の場合、謎解き(わりと謎自体が弱い)そのものより人物や舞台設定の描写を楽しむ傾向にあるのだけど…。
連作短編集なので登場人物が移り変わっていくのがどうもなじめない。軸となる度会恭平の人となりが見えてこないから?突飛な行動がむしろめくらましになってしまって、本人の事件に対する心情が読み取りにくい。
度会恭平が小劇団を立ち上げるために集めた人たちも、キャラクターがややかぶっている。都会を舞台にしたことで斜に構えてみたのかもしれないけれど、光原さんご本人の人柄が透けてみえるような、気恥ずかしくなるぐらいに真正面な設定でもいいのかもしれない。

例によって読後感はほんわりしているので、かまえず読むにはOK。取り出すビールの繰り返しネタが楽しい。

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2005年8月30日 (火)

『帝国ホテル厨房物語』村上 信夫

4532192382帝国ホテル厨房物語―
私の履歴書

村上 信夫

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つい先日に亡くなられた日本におけるフランス料理界の先駆け、村上信夫さんの自伝。いわゆる料理本ではない。本の構成としてベストではないかもしれないけれど、いつまでも読む価値の落ちない本だと思う。

戦前生まれの方のお話や本はとても面白いことが多い。文章の善し悪し以前に、半端ないスケールやバイタリティ、向上心に感心するばかり。厳しい時代を語る文は、むしろからりとしている。
がむしゃらに無茶苦茶に走り続け登り詰めた地位ではあるのだけれど、村上さんが本当に世渡りのうまい人であったならご自身のささやかな夢を実現できたことだろう。あのミクニ(蓮丈那智の助手ではない)さんが寄稿されていて、そんな村上さんのお人柄を偲ばせる序文を寄稿されている。

4167257033田宮模型の仕事
田宮 俊作

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この本も文章力を人生経験が凌駕していて面白かった。
幾つもの苦難を乗り越えた人にとっては、「ブーム過ぎ去りし後」は次の時代への準備期間であって脅威ではないらしい。

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2005年8月26日 (金)

『劫尽童女』恩田 陸

4334738559劫尽童女
恩田 陸

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父・伊勢崎博士の手で容易ならぬ超能力を与えられた少女・遥。彼ら親子は、属していた秘密組織「ZOO」から逃亡していた。そして、七年を経て、組織の追っ手により、再び戦いの中へ身を投じることに! 激闘で父を失った遥は、やはり特殊能力を持つ犬・アレキサンダーと孤児院に身を潜めるが—。殺戮、数奇な運命、成長する少女。彼女の行く手に待つのは何か?(Amazon紹介より)

ヤバい作品であった。↑実はこの紹介文はだいたい合っているので。

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2005年8月23日 (火)

『ハチミツとクローバー (8)』羽海野 チカ

4088652975ハチミツとクローバー (8)
羽海野 チカ

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新刊発売の車内吊り広告が出ていた。
本社会議だったので、移動がてら本屋に寄って購入。
ウキウキ上司兼友人に「出てたよ〜、買ったよ〜!」とじまんしたところ、
「オレも買ったよー、週末はハチクロカフェ(9月30日まで)に行く約束なんだー」←三十代男性、二人のお子さん持ち。
仕方ないので、N氏にもじまんする。
「ホラホラ出てましたよ〜、新刊〜!」
「あれ、オレ二〜三日前に買いましたけど」←四十代男性、二人のお子さん持ち。
むむ。乗り遅れていた?
そして現在はツレアイが読書中←三十代男性、通勤電車にて。

ずっと一方通行ループな恋心に変化が現れた8巻。
山田さんと理花さん(あと強いていえば山崎)に幸せになってもらえれば、それでいいの。相手は誰でもいいや。

アニメはいい線いってると思うのだけど、微妙な感覚の違いが歯がゆくて一度しか観ていないんである。

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2005年8月20日 (土)

『北欧のかわいいデザインたち』

4894444275北欧のかわいいデザインたち
―日用品をたくさん集めてみました

pieni kauppa

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北欧の日用雑貨、お菓子から郵便局まわりまで、主にパッケージデザインなどを写真とコメントで紹介する本。

とにかくデザインがよいのです。デザインそのものが商品の説明になっていることが多いです。眺めていると楽しいし、こうした日用雑貨をつい買い集めてしまう気持ちもわかります。

日本では小林製薬の商品のようなはっきりくっきりデザインでないと認知されないのはなんでなのかな〜。商品名もね〜。
視覚、色覚から情報を読み取る能力が北欧の人と違うのかな〜。
こんな色の感じこんな?(ムヅカシイ…)

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2005年8月17日 (水)

『愛がなくても喰ってゆけます。』よしなが ふみ

4872339363愛がなくても喰ってゆけます。
よしなが ふみ

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『西洋骨董洋菓子店』の作者による食にまつわるコミックエッセイ。
最初の自己紹介のコマのさばけっぷりに笑う。
(たぶんこの一文にひくようならご遠慮くださいの宣言だと思う)
食べることに並々ならぬ執着を燃やす作者の食べ歩きレポートと、周囲の人間関係が綴られている(まだ両方のバランスは模索中のよう)。ややこしいうんちくをこねくりまわすのでなく、事実とシチュエーションの羅列で「うま〜い!」と震えているストレートな感想が並ぶ。

かなり楽しく読んで何軒かは行ってみたいと思うけれど、お店の場所がかなり東京都下に固まっているのでこの地域に縁のない人にはどうなんだろう?作者は丸ノ内線沿線(荻窪寄り)にお住まいと見受けられる。でもって目黒か渋谷の辺りに友人か恋人がいる(いた…?)ような。

実はボーイズラブ系は得意でない(というかほぼ読んだことがない)のだけど、この本にも出ているO田N子さんのエッセイはすっげえ面白い。

4403540317海馬が耳から駆けてゆく〈1〉
菅野 彰

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「スポーツ新聞のエロ記事でいいから書く仕事がしたかった」。
このくらいの気概がなければ物書きになんかなれやしないだろう。
(いや、いますけどね。なんとなく書いてみたら書けちゃったらしいお人も。村上春樹氏とか京極夏彦氏とかブロンテ姉妹とか←例えが極端)

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2005年8月 9日 (火)

『セイジ』辻内 智貴

4480803645セイジ
辻内 智貴

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純粋であるがゆえに、不器用な生き方しかできない男たち。彼らの思いがけない言葉と行動によって、人びとは人生の真実を知ることができる。太宰治賞最終候補作となった「セイジ」に、書き下ろし「竜二」を加えた、第二作品集。(Amazon紹介より)

辻内さんの作品を読んだのは『信さん』『いつでも夢を』に続いて三作目。
どこかけだるげで、でも信念を持った男が周囲に影響を与えながら不器用に生きている…という人物造形がどれも同じように感じる。デザイン学校卒、音楽活動の後文学賞受賞という作者の経歴(本に著者略歴がある)投影されたに違いない「竜二」は、読み手側にしてみると…(シラケテシマウノダ)。
淡々とした文体が合うようなら『いつでも夢を』の方が楽しめると思う。厚みのない話ではあるけれど、ちょっとタガの外れた登場人物たちがおかしい(TVドラマにしたら合うかも)。

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2005年8月 4日 (木)

『骨董屋征次郎京暦』火坂 雅志

4408534528骨董屋征次郎京暦
火坂 雅志

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昼は骨董屋の主。しかして、その正体は…!? 世も人も移りゆく京の町を舞台に、変わらぬ魅力を持つ骨董品をめぐる、様々な人間模様。傑作骨董時代小説シリーズ。『週刊小説』『ジェイ・ノベル』掲載を単行本化。(Amazon紹介より)
(また妙な紹介だな…↑正体は首突っ込みたがり巻き込まれタイプの骨董屋でしょう)

時代は移り、征次郎はあっさりざん切り頭になっている。
新しいものがもてはやされる時代に<骨董屋>の征次郎、<芸妓>の小染や知人たちはどうやって生きていくのか。戸惑いと迷いをちらりと見せつつも、主要な人物たちはふらりとなるのは色恋沙汰ぐらいなもので、淡々と自分たちの進むべき道を歩んでいる。
時代小説を読んでいると、貞操観念が今と違うので男の無道っぷりにむかっ腹をたてることが多かったりする(負けず嫌いなので潔癖であれというわけでなく、女も見返してやれぃと思うんである)。その点、征次郎はやや薄情ではっきりしない奴なのだけどまあ許してやろう(笑)
真贋だけが重要ではないといいつつ描写はそこに重点をおいているし、骨董=魔道の位置づけなのでどうも骨董の美しさや愛らしさが伝わってこないのが物足りないところ。

この本、前作より装丁がお洒落で素敵。

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2005年7月30日 (土)

『孤宿の人』宮部 みゆき

4404032579孤宿の人 上
宮部 みゆき

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讃岐国、丸海藩——。この地に幕府の罪人・加賀殿が流されてきた。以来、加賀殿の所業をなぞるかのように毒死や怪異が頻発。そして、加賀殿幽閉屋敷に下女として住み込むことになった少女ほう。無垢な少女と、悪霊と恐れられた男の魂の触れ合いを描く渾身の長編大作。(Amazon紹介より)

「ほう」が登場し、描かれるこれまでの半生にぐっと引き込まれる。
そしてある人の死によって物語が動き出す…と同時に吸引力が弱まってしまった。

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2005年7月26日 (火)

『闇の花道』浅田 次郎

4087474526闇の花道―天切り松 闇がたり〈第1巻〉
浅田 次郎

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冬の留置場で、その老人は不思議な声色で遙かな昔を語り始めた……。時は大正ロマンの時代。帝都に名を馳せた義賊がいた。粋でいなせな怪盗たちの大活躍を描く傑作連作第一弾。(集英社紹介)

何故か江戸時代の奉行所同心ものだと具体的に勘違いしていた(笑)
実際に闇がたりされているのは、昭和か平成か。
老人となった松蔵の昔がたりなので、一巻目では自身はまだまだ小僧。
活躍するのは周りの姉貴分、兄貴分たち。
浅田作品にはお馴染みの人柄、エピソードが並んでいるので目新しさはないけれど、先読みできようがあざとかろうが飽きたりはしないので、最後まで連れていってもらえる。
このままシリーズを読んでいけば、いずれぴったりハマる話に会えるのではないかと期待。

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2005年7月22日 (金)

『夜のピクニック』恩田 陸

4103971053夜のピクニック
恩田 陸

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夜を徹して八十キロを歩き通す、高校生活最後の一大イベント「歩行祭」。三年間わだかまっていた想いを清算すべく、あたしは一つの賭けを胸に秘め、当日を迎えた。去来する思い出、予期せぬ闖入者、積み重なる疲労。気ばかり焦り、何もできないままゴールは迫る——。ノスタルジーの魔術師が贈る、永遠普遍の青春小説。(新潮社紹介)

しんどい「歩行祭」が「修学旅行」よりずっといい、というくだりがあって、納得させられてしまう。実際にこういった行事は各地であるようだし、以前TVで槍ヶ岳を一泊二日かけて登頂する中学のドキュメントをみて、その準備、行程の大変さに伴う達成感は羨ましいようだった。
夜通し続くお喋りと、肉体の疲労や痛みで散漫になった思考が実は真実を語る瞬間(疲れすぎて深慮する余裕がない)、友人に対する愛情が積み重なり、道のりと話の終わりにむかってどんどんスパートをかけてゆく。
『六番目の小夜子』と同じく、恩田さんは高校生の空気感をとらえて描写するのが本当にうまいと思う。

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2005年7月10日 (日)

『死神の精度』伊坂 幸太郎

4163239804死神の精度
伊坂 幸太郎

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ある時は恋愛小説風に、ある時はロード・ノベル風に…様々なスタイルで語られる、死神の見た6つの人間模様。(Amazon紹介文より)

かるーい、小品という印象。
死神の言動と音楽に対する執着が珍妙で楽しく、最後まで読むと一つの物語になる様はいつもの通り(良い意味!)で嬉しい。

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2005年7月 4日 (月)

『骨董屋征次郎手控』火坂 雅志

406275116X骨董屋征次郎手控
火坂 雅志

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京都夢見坂で小さな骨董屋を営む征次郎の許に、いわくありげな品が持ち込まれ…。若くして目利きと評判の男が世俗を騒がす真贋事件を解決する。骨董品を取り巻く人間模様を描き出した連作時代小説。(紹介文より)

主人公の征次郎は三十代、骨董の道に嵌った業も見せつつその前身の設定もあってアクティブに動き回る。
骨董を目当てに借金をし、網元に頼んで舟を出させて引き揚げを試み、追われるはめになれば長崎まで、戦う相手は新撰組、合間に食べるビーフ・カツレツ(笑)…。
そんなわけで骨董屋というより幕末を生きた男の話として読むべき。
その品が素晴らしいという以外には骨董にまつわる明るいエピソードがほとんどなくて雰囲気は重々しいのだけど、後半以降の展開はどんどん転がり進んでいくので、そのバランスになかなか追いつけなかった。
でも、明治時代に舞台を移した二作目も読んでみるつもり。

ところで、文庫版が2005年6月の新刊として出ていて「時代小説+骨董だ〜」と思って手に取った。
ちょうど読み始めた時に、自分にとってお馴染みのブログのあちら(*second message*さん)でもこちら(Diary of 食・飲・読・旅・潜・泊さん)でもエントリーされて読書傾向と条件反射に同じようなものを感じてちょっとおかしかった(TBさせていただきました!)。

※本を読んだ後に文庫裏表紙の紹介文(あるいは講談社サイトの紹介文)を読むと、あまりにも内容にそぐわなくってこれもおかしい。

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2005年6月10日 (金)

『蒲公英草紙』恩田 陸

4087747700蒲公英草紙―常野物語
恩田 陸

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常野物語二作目。時代は明治、二十世紀になったばかりの頃。集落の大地主の娘のお相手に通っていた峰子は、そこでお嬢様の聡子をはじめその家族やある日訪れた「常野」の一族とも出会う。集落の日常や風習、人々の生活と共に語られる、あの美しい夏の記憶。

本屋対象&吉川英治文学新人賞受賞後初の小説って微妙な表現。初出は2001年なんだけど…。
『光の帝国』に出てきた人たちのその後が読めないことに残念なに思いつつも、「響く」「しまう」「遠見」などの言葉にグッときてしまう。ただ、常野物語というより、聡子の物語のような気もする。

※以下、未読の方はご注意ください。

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2005年6月 4日 (土)

『図書室の海』恩田 陸

図書室の海
恩田 陸
4103971045

なんとなく、長編か連作短編かと思っていて、二作目を読み始めてようやく気づいた。短編集だった。
水野理瀬の短編、「夜のピクニック」の予告にあたる短編、「六番目の小夜子」の秋の姉、夏が主人公の短編が収められているので、出来不出来以前に愛着心がなだめられる。

どこかで会ったような光景だよなあと思いつつ、流れていく河を見送っていくような印象。
始まったところで終わってしまう話が多いのよ…、せめて海に辿り着くところまでみせてほしいんだけど。
…と、以前恩田さんがインタビューで語っていた、「話は開いたまま終わらせるようにしている」を思いだし、ディテールルだけでまんまと読まされてしまった自分に気づくのであった。くぅ。

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2005年5月26日 (木)

『空中ブランコ』奥田 英朗

4163228705空中ブランコ
奥田 英朗

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イン・ザ・プール続編。

特に前作と変わった点があるわけでなく、純粋に続き。
露出狂看護士マユミちゃんが時折いいところを持っていく。
精神科医伊良部のキャラは完成されているので、ゲストキャラ=症状のバリエーションで読ませていく。

伊良部が医者らしい判断と説明をする「ハリネズミ」では内縁の妻がヤクザにちょっとした提案を幾つかするのだけど、内縁の妻の本心を覗かせる様、不意をつかれるヤクザの反応といい、可愛らしい。「女流作家」のかなりイタい視野狭窄思い込み暴走は、そのスピードのまま爽やかに決着して、彼女は走っていく。案外女性の描写がいい。

個人的には前作と同じく患者の心理に引っ張られて疲れる…。
(ようは、描写がうまいわけだ)
伊良部がいたら、間違いなく看板に落書きしヅラをはがすだろう。

*second massage*さんのエントリーによると、2005年5月27日にTVドラマ放映。
伊良部が阿部寛さん?まあ安易に巨漢イメージだけでキャスティングしないのはいいかも。小説「シッピングニュース」のクオイル(巨漢)役が映画ではケビン・スペイシーだったような感じ。
公式サイトのコメントを読むと、伊良部がまっとうな医者になっているっぽい?
患者が衝動に破裂しそうに追い込まれていく様子がうまく映像になればいいな。

B000068P82シッピング・ニュース 特別版


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この映画に出てくる主人公たちが住む崖っぷちの家。
リアル「ブラックジャック」の家〜!

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2005年5月24日 (火)

『夢の守り人』上橋 菜穂子

4035402303夢の守り人
上橋 菜穂子

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人の世界とは別の世界で花をつけ実をむすぶその"花"は、人の夢を必要としていた。一方、この世をはかなんでいる者は、花の世界で、永遠に夢を見つづけることを望んだ。いとしい者を花の夢から助けようと、逆に花のために魂を奪われ、人鬼と化すタンダ。タンダを命をかけて助けようとするトロガイとチャグム、そしてバルサ。人を想う心は輪廻のように循環する。(偕成社紹介より)

ユグノという放浪の歌い手(ジプシーのような吟遊詩人のような)が出てきて、この男が人間的にはしょうもないヤツで…。あれこれ周りをひっかきまわします。才能に秀でた人の無自覚の傲慢さ、身勝手さがよく出てます。
一作目に登場したチャグムも第二皇子である立場にもがいています。運命を呪い夢に囚われる人に対し、自らの意志でその生きる道を決めたトロガイ、バルサ、タンダ、ユグノ(もなんですよ!)の示す道しるべは押しつけでなく、それだけに受け取る側は己を問うことになります。
生まれや育ちで全てが決まるわけではないけれど、どのように受け入れて生きていくか。
その生き様は美しい?それとも醜いと思う?
この本を読んだ子供たちには、この問い掛けが文中の出来事だけに留まらずに届いて欲しいです。
チャグムの真摯な態度は周りの人の態度をも変えてゆきます。

人鬼と化したタンダがひどい目にあいます。鬼になっている間は感じない痛みも人に戻れば大ケガになる、当たり前のこと。話の展開はやや安易な部分もありますが、このリアリティがシリーズの骨太な感覚を支えているように思います。

引き続き、月着陸船さんにTB!

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2005年5月19日 (木)

『闇の守り人』上橋 菜穂子

4035402109闇の守り人
上橋 菜穂子

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チャグムを守り通したバルサは、自分の過去とむきあうため、また養父ジグロの供養のため、生まれ故郷のカンバル国へ二十余年ぶりにもどる。バルサの父は王の弟のはかり事のために殺され、バルサを助けたジグロは国宝を盗んだ国の敵としての汚名を着せられていた。黒い霧につつまれたカンバル国をバルサが救う。(偕成社紹介より)

守り人三部作の二作目。
血筋によって身分や人生が決まること。自分側の使用人だと思っていた牧童たちが、自分の嘘を見破ってしまうような能力を持ち、役割を担っていること。自分の住む国以外にも世界や人が存在すること。犯してはいけない領分が存在し、越えてしまった者は代償を負うこと。十五歳の少年の目を通して、見たままだけでない世の中の深さ、ルールが語られていく。この様子がある程度の客観性を保っていて、読んでいて気持ちいい。
バルサの持つ短槍の技が相手と絡む内にやがて<槍舞い>になるというくだりが、武道の本質をみるような、なんだかわかったような気分になる。けっこう戦闘シーンがイケる本だったりする。

一作目に続いて月着陸船さんにTBさせていただきました。
こちらでも触れられているティティ・ランの登場するシーンが詩的に美しい。
<大きい狩人><大きな兄弟><オコジョを駆る狩人>…、コロボックルシーリズの豆つぶほどの小さないぬが思いだされてなりません!

勢いで続けさせてもらうと、つい最近青い鳥文庫で出た本。

4061486837小さな人のむかしの話
佐藤 さとる

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納得できるけれどもどかしいような、切ないような、でも嬉しい文庫版の後書きがついてる。

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2005年5月17日 (火)

『ギャラリーフェイク (32)』細野 不二彦

4091873928ギャラリーフェイク (32)
細野 不二彦

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『ギャラリーフェイク』最終巻。終わっちゃった…。
もうずいぶん長いおつきあいで、新刊が出るたびにとりこぼすことなく読み続けていた。13年間!?寂しいなあ。オビにはアートコミックの最高傑作と謳われているけれど、確かにしばらくこのジャンルで越える本は出なかろう。絵も話の構成もプロのお仕事。うまーいのだ。

メトロポリタン美術館の元学芸員フジタ、語学に堪能、天才修復師、贋作師、贋作画廊(ギャラリーフェイク)オーナー。カニとボロアパートを愛し、体力なし。美に対し確固たる価値観を持ち、他人に惑わされることのないかわりに敵も多い。表世界もウラ世界も人との関わりは持ちつ持たれつ。助手のサラ、私立美術館の館長三田村、トレジャーハンターラモス、宝石泥棒のフェイツイ、香合師の香本など、多種多様な人物たちとの関係はなんとも微妙。その口では説明できないバランスが良かった。
短いページ数、一コマの中に入った情報量、簡潔な画面転換、時にフジタが糾弾され失敗する有様がブラック・ジャック 手塚治虫っぽいと常々思っていたのだけど、細野氏ご本人もそのつもりだったと語っていたらしい。

1巻目の充実ぶりは素晴らしい。これを押さえれば、多少前後して読んでもだいじょうぶだと思う(多少登場人物の順番はあるけれど)。一冊の本として好きなエピソードが多く入っているのは9巻。人の思いの割り切れない様子がいくつも。12巻に入っている「城下の棋士」のテンポと切なさ潔さがお気に入り。
なーんか「恋心」の歌詞を思いだしちゃうんだな。
えーと、コレ(笑)

B00000JO91B´z The Best "Treasure"


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ところで、現在TVアニメ放映中。
(以下、否定的な文章なのでご注意ください)

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2005年5月13日 (金)

『精霊の守り人』上橋 菜穂子

4035401501精霊の守り人
上橋 菜穂子

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短槍使いの女用心棒バルサ。彼女が助けたのは、新ヨゴ皇国の第二皇子のチャグム。チャグムのからだには、ある異変が起こっていた。母親の第二王妃からチャグムを託されたバルサは追っ手によって傷を負い、薬草師のタンダの元へ。タンダとその師匠のトロガイは二人や皇国の人間が知り得ない情報を持っていた。チャグムを救おうとする側と皇国の利害が交錯する。

この世の<サグ>に対してもうひとつの世<ナユグ>。
皇子であるにも関わらず、皇国を脅かすものとして父親である帝に追われるチャグム。
まだ若いシェガは星読博士として皇国を支える存在であるうちに、やがて兄弟子との立場をも越えてその裏側を知る。
長く好き合っていてもどうにもならないバルサとタンダ。
などなど、答えが一つではない、あるいは正しい答えがないものがいろいろでてくるので、子供が読んでそこを感じ取るのに良さそう。
チャグムは<ナユグ>の水の守り人ニュンガ・ロ・イムの卵に作用されて、存在が危うくなる時がある。
読んでいると、薬草師、呪術師、星読博士、聖導師、卵食い、狩人…など魅惑の言葉が並んでいるので、こちらもふーっと危うく…。
そして、「からりと油であげられ、かむとジュッとうまい肉汁がでる鳥やら、牛の乳からつくられた複雑なうま味のある汁物やら」「米と麦を半はんにまぜた炊きたての飯に、このあたりでゴシャとよぶ白身魚に、あまからいタレをぬってこうばしく焼いた物がのっかり、ちょっとピリッとする香辛料をかけてある」「いい味がでるキノコの入った湯気のたつ山菜汁」「あつあつの鹿鍋」。
…児童文学に出てくる食物はいつもうまそう(実は鶏の唐揚げとシチューとかだったりするんだけど)。
バルサが女性であるハンディキャップをものともせずに強くて小気味いい。

1996年刊行の児童書で今もシリーズとして継続中、その第一弾。
つい先月にも蒼路の旅人が出てますが、第一弾刊行時十歳だった子供は、もう二十歳になってるぞ。大人になっても読める本(笑)

月着陸船さんで紹介されていた本。自分の感覚に合った物を探し出してくる本読みの嗅覚って、素晴しくてありがたい。感謝です!

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2005年4月26日 (火)

『信さん』『いつでも夢を』辻内 智貴

信さん
辻内 智貴

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故郷の炭坑の街には、ボタ山があった。
ボタ山のある風景で過ごした少年時代。
ちょっとだけ年上の「信さん」と母と美代。
そして「信さん」には義母がいた。
交わった人と、そうでなかった人との思い出。他一篇。

いつでも夢を
辻内 智貴

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カッターナイフを持ち、雨に打たれつづける女性。
そこに通りがかった何人かの男がいた。
気ままな四十男と、土産のケーキを抱えたヤクザ。
彼らも女性に声をかける。
男は女性を連れ帰り、おばちゃんと親父と、共にケーキを食べる夜となる。

二冊ともどこかで読んだような、そして読みはじめると結末までが見通せるような話なのだけど、同じようなものを読むならばこのぐらい抑制のきいた文がいい。
前者はお母さんが、後者はおばちゃんと親父のキャラがよくて、アクセントになっている。
ただ、人物の背景とその影響もひねったものではないし、奇跡的な邂逅によって繋がっていく話としては、意外性やスケールも小さいので、評判のよい同じ作者の「セイジ」を読んでみようと思う。

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2005年4月21日 (木)

『英国アンティーク夢譚』佐々木 ひとみ

英国アンティーク夢譚
佐々木 ひとみ

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Diary of 食・飲・読・旅・潜・泊さんで紹介されていて、
やはり「アンティーク」「夢譚」の文字にふらふらと…。
アンティークを商うには駆け出しの主人公自身には「お友だち」が憑いている。
それぞれの品にもモノが憑いているわけで…、という話。

癖有りのショップオーナーや、行く先々で出会った人に教授してもらったり、
そんなアンティークの由来に加えてイギリスの土地についても詳しい記述がある。
反面、主人公についての記述が希薄…。
生活や資金、今後の展望など、どーなっているんだろう?
アンティークにまつわる話については、
美しいだけでなく忌わしい方向でもっともらしく、
作者の思い入れや一所懸命さは伝わる。
が、物語として読むには物足りない感のある一冊。

結局こんなタイトルがつけられていると
つい引き寄せられる本読みの習性に、照れ笑いと苦笑の中間。

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2005年4月18日 (月)

『現実入門』穂村 弘

現実入門
穂村 弘

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少々現実を怖れる歌人による現実体験エッセイ集…
と思っていると、終盤、不意をつかれる。

「結婚式の当日、曇天のアスファルトに純白のドレスの裾をたらしたそのひとは輝くように美しかった」
後輩の結婚式についてこんな無駄のない美しい文章を
さらりと書いてしまうのだから、
怖いだの逃げ出したなどと書かれている現実や生活なんて、
歌人という属性を持つ穂村さんにとって、いかほどのものなのか。

読み進めていると、おや?という箇所があり、
あれ?と思ううちに最後まで連れていかれる。ドキドキした。
体験エッセイをこんな形に仕上げるあたりが生半でない。

電車の中で読むと、表情を保つのに苦労する。
そのぐらいおかしい本(というかおかしいのはご本人だろうけれど)。
でもこの本は、世界音痴もうおうちへかえりましょうがあってこそなので、
穂村さんのエッセイを未読の方はこちらからどうぞ。

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2005年4月14日 (木)

『午前の光』獣木野生

パーム (27)
獣木野生

1984年から雑誌掲載が始まったパームシリーズ(マンガです)、27巻。

同シリーズ星の歴史―殺人衝動 (2)にこんな台詞が出てくる。
「死は突然飛来する
 テロリストのようにね
 日常的で平和な世界に なんの前ぶれもなく 
 納得できる理由もなく 
 ──無差別に」

無性にこれを思いだしたのは、作家景山民夫氏が亡くなった時だった。
突然の、火災による事故だった。
なんとなくいつかは…、そして作品もまた…、と思っていた。
そんなあやふやな願いは、死によって絶たれてしまう。

こんな台詞を書いていたのに、パームシリーズは
前エピソードを終えて四年ほど休載していた。
ようやく再開し、27巻目の単行本としてまとまった。
巷では、グイン・サーガの完結しなかった100巻目が刊行されている。
(ちなみに早い時期に挫折。
 加藤直之氏の手による大層醜い人物の表紙の巻だった…)
長いシリーズを抱えている作家さんには、とにかく書き続けていてほしい。
作品は読者のためのものではないとしても、勝手にそう願っている。
次回作のめどもたたず待たされる身は、歯痒く辛い。

池波正太郎氏の心残りであろう(ご病気でした)
完結が果たせなかった、藤枝梅安シリーズ、鬼平犯科帳シリーズの
最後のエピソードはせつなくて、一度しか読んでいない。

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2005年4月 8日 (金)

『イン・ザ・プール』奥田 英朗

イン・ザ・プール
奥田 英朗

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直木賞受賞の『空中ブランコ』前作。短編集。
オモシロイです。
うさんくさい神経科医伊良部は、同姓の投手(元になっちゃいそうですね)が
モデルだそうで、そう思ってみるとビジュアルが簡単に浮かびます。
(かの投手もこのぐらいの明るさを持っていたら、いっそ得だったのになあ)

それにしてもわたしは気が小さいので、
簡単に作中の患者の行動に引っ張られてしまいます。
うわわわ、これ以上はもう無理〜!というところで
あっけらかんと話が終わる、の繰り返しでした。
この辺りのバランスのうまさが直木賞に繋がるのでしょう。
続けて次作を読むと、滅入りそうですが、
うまい具合に図書館の予約人数があと20人あります。


こちらの捕手の方も
読んでらっしゃいます。
「お薦めの本」もありました。
しかし、なんでもできる人だ…、
このラインナップって、普段から気軽に本を読んでいる人のものですね。

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2005年4月 5日 (火)

『図書館の神様』瀬尾 まいこ

図書館の神様
瀬尾 まいこ

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あちこちの書評を読むにつけ、瀬尾さんの評価は高いよう。
どうも、自分には合わないらしいので残念。

※以下、そんな感想になりますので、ご了承ください。

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2005年3月29日 (火)

『のだめカンタービレ』二ノ宮 知子

nodame

姉から宅急便で送られてきた、お菓子の箱。

nodame2

開けると『のだめカンタービレ』11冊が。
ねーちゃん、梱包のセンス天才!角が折れる心配がナイのだ。
以前メールで「のだめってどーお?」と尋ねたところ、
「突っ込まずに読める音楽漫画って貴重だよ〜」との返事だった。
(声楽、ピアノを嗜んでいるので、いろいろあるらしい)

どちらかといえば、『千秋ブラックフェザー』な印象だったけれど、
面白かった〜。指揮者コンクールで間違い探しをするところで、
小澤征爾のエピソードを紹介した『光の帝国』恩田 陸を思い出した
(素直に直接思い出せない素人)。
のだめちゃんは…、才能の無駄遣いする人ってちょっとムカつくよな(笑)

発売中の雑誌「ダ・ヴィンチ」で特集されている。
リアルのだめの写真は一見の価値有り。

のだめカンタービレ(1)

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2005年3月23日 (水)

『TVJ』五十嵐 貴久

※後半になるにしたがって、どんどん『TVJ』の感想から離れていきます。ご了承ください。

TVJ
五十嵐 貴久

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TV局の経理部に勤める真紀子。
テロリストにジャックされた局に、恋人の圭が人質として囚われた。
ダイハード、経理部OL版。

非常に読みやすい本だった。
真紀子の行動自体はもの凄くがんばれば、可能かもしれない。

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2005年3月18日 (金)

『家守綺譚』梨木香歩

家守綺譚
梨木 香歩

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なるほど『村田エフェンディ滞土録』と対になっているわけですね。
そして、『村田〜』は『春になったら莓を摘みに』とシンクロしているように思います。
なまぬるい人間なので、この本がいちばん好きです。
山から川へ、庭の草木、花などの湿度のある和の風景がしっくりきます。
語り手である綿貫、その友人の高堂、ゴロー、隣のおかみさん、和尚…、
魅力的な人物(犬や狸や河童や小鬼や)ばかりですが、
ひそかに編集者山内がいい味を出してます。
綿貫の縁談に対して、彼に言ってきかせる様が非常に可笑しいです。

たぶん意識してのことでしょうが、ふりがながほとんどふっていない本です。
うかつにもすんなり読めない漢字が幾つかありました。
ああ、情けなや…。

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2005年3月14日 (月)

『天国はまだ遠く』瀬尾 まいこ

天国はまだ遠く
瀬尾 まいこ

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会社にも私生活にも活路を見出せず、
「もう終わりにしよう」と二週間分の睡眠薬を持って北へ向かう
一人の女のコ、その旅の物語。

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2005年3月10日 (木)

『氷菓』『愚者のエンドロール』米澤 穂信

氷菓
米澤 穂信

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神山高校を舞台にした、青春日常ミステリ、二作。

米澤さんの本は最新刊から遡って読んでいるので、
あんまり公平でない感想かもしれませんが…。

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2005年2月26日 (土)

『夜光曲』田中芳樹

薬師寺涼子の怪奇事件簿 夜光曲
田中 芳樹 垣野内 成美

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Amazonの紹介、作者名が連名になってる…(笑)
今回は祥伝社からの発行。
なんだろう、出版社に義理を欠いた田中さんが、
ちょっと間を持たせるためのシリーズになってるとか?

相変わらずなので、四十五分ぐらいで読める。
たぶん作者も読者もそのつもりのはずなので、問題なし。

以下、『巴里・妖都変』からの引用。ノベルズ版の88ページ目。

「岸本のやつが二度と戻って来なくても、あたしはべつに痛痒を感じないわよ」
 涼子は私に視線を向けた。
「泉田クンはどう思う?」
「そうですね……」
 慎重に、私は言葉を選んだ。
「生きていればうれしい、ということもありませんが、殺されたりしていれば、やはりかわいそうですね」
「つまり……」

わたしの中では、このやりとり、「……」の部分が最高傑作。
これを越えるものを今後に期待。
片仮名に開くのは、「木っ端役人」→「コッパ役人」が第一位。

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2005年2月23日 (水)

『ランチタイム・ブルー』永井するみ

ランチタイム・ブルー
永井 するみ

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29歳。独身。転職したて。
駆け出しインテリア・コーティネーターの行く先に事件あり!
新感覚<オフィス内外>ミステリー!
(文庫本帯より。解説「酒井順子」(負け犬の遠吠え、未読)の方が作者名よりでかいぞ)

1999年に刊行された本の文庫化。題材がこのところの世相にあってるのかしらん。

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2005年2月21日 (月)

『五人姉妹』菅 浩江

五人姉妹
菅 浩江

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あまりSFは得意ではないのに、つい『永遠の森』の後日談というものだから…。
(後日談というほどでもなかった。同じ世界観のお話で、通りすがりに彼らがでてくる)
論理に裏打ちされた不条理(…?)が苦手。
そういったお話が完璧に展開されると、ブルーになってしまう。
何遍か入っていて、反駁の余地なくブルー。
腑に落ちてしまうので、ブルー。

一方、『ホールド・ミー・タイド』のような、
完璧なラブストーリーも入っていて、幸せ気分になる。
ネット世界に浸かった女性のお話なのだけど、
いきなり勤め先が「武蔵境」なんて見知った地名が出されると、
おぉっと。そういえば菅さんはこちら方面に由縁がある人のような気がする。
辛い恋(いや、そんな辛くないと思うけどな?)を諦めようとする過程が凄くて、
女性にしか書けない発想だと思う。生理の違いだからね。

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2005年2月18日 (金)

『富豪刑事』筒井康隆

富豪刑事
筒井 康隆

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*second massage*さんで紹介されていて、
実は筒井康隆氏の著作ってほとんど読んだことがないなあと。
TVドラマになっていることもあって、書店では平積み。いいきっかけだった。
とんでもない富豪の息子である刑事が、私財で事件の解決を導いていく過程を
ひょうひょうとした文体で綴っている。
捜査のために起業して、不相応なぐらいの一流どころを呼び寄せ、
そのみんながほいほいと喜んでやってくるお話が楽しい。

それぞれ面白くて、文章のあかぬけ具合、手法の凝り方の嫌みがない。
筒井さんはこれを二十年以上前に書いてたのかー。
そりゃー断筆もするよね、と何故か納得。頭の良い人って大変。
この本の優れている部分を書き出した解説が、とてもわかりやすい
(いや、だから解説なんだけども)。

挿絵が星新一さんの本で親しんだ真鍋博氏で、懐かしかった。
…というか、筒井さんとは定番コンビなのね。

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2005年2月 9日 (水)

『Twelve Y.O.』福井 晴敏

Twelve Y.O.
福井 晴敏

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『亡国のイージス』→『川の深さは…』→『Twelve Y.O.』という、
いかにも目についた順に読んでしまったのだけど、やはり執筆順の方が良さそう。
『川の深さは』→『Twelve Y.O.』→『亡国のイージス』
(→『終戦のローレライ』→『6ステイン』とガンダム)。
今回は平バージョンか(仙石バージョンと桃山バージョンがある)、
と勝手に思って読むと、同じじゃん、などと思わずに済みます。
執筆順1に続き、2のタイトルも良いですね。
『川の深さは』『Twelve Y.O.』二作続けて乱歩賞に応募した
福井晴敏氏は、思えばずいぶん挑戦的な人…。

情報量のわりに、さくっと読めました。
刊行されるごとに追っかける作家さんになりそうです。

映画は、『ローレライ』が良さそうです。
キャストはいかにもだけど、仙石が真田広之の『亡国〜』よりは…。

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2005年2月 6日 (日)

『レインレイン・ボウ』加納朋子

レインレイン・ボウ
加納 朋子

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『月曜日の水玉模様』の片桐陶子が登場する、連作短編。
ただし、主軸になるのはもう亡くなってしまった人。
七人(七色)の女性は共感できるばかりではないのがリアル。
ミステリというほどの謎立てになっていないものが多い。
提示される可能性が少なすぎて、こじつけっぽく感じられる。
そんな中で、「藍」のお話がお気に入り。
キャラクターがいいし、「こんなもんでしょ」と納得できた。
…それに食べ物がでてくる話って好きなのだ。

続編ではないのだけど、旧知の人物がちらほら顔を出して、
しっかりその存在を示してくれるのもお楽しみ。
陶子も印象的で、良い役回りだった。
次も「7」にこだわったもので出るのかしらん。

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2005年1月28日 (金)

『ドラがみつけたパリのインテリア』ドラ トーザン

ドラがみつけたパリのインテリア
ドラ トーザン Dora Tauzin

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『パリのキッチンスタイル』に気をよくして、同じような本を買ってみた。
上記の本は、フランスで編集されたもの。
こちらは、フランスと日本を往復するパリジェンヌが日本で発行したもの。

エピソードも写真も素敵なのだけど、いかんせん読みづらい。

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2005年1月25日 (火)

『日暮らし 』宮部みゆき

日暮らし 上
宮部 みゆき

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『ぼんくら』の続編。
比べると、人死にの不気味さや緊張感は少なく、謎解きもゆるくなってる。
人の心の機微の理不尽さを描くのが、相変わらずうまい。
枝葉の人物描写、特にお徳とおとよがいい味を出していてとっても可愛い。
二人がうまい具合に道を歩き出すラストは華やかで楽しい気持ちになる。

気になったのは本の構成。
連作短編かと思うような上巻は、続編ゆえなのかもしれないけれど、
それにしても上下巻にわける必要があったのかな?
分厚くっても一冊にまとめてくれた方が、勢いがつくと思う。
重いけど…。

日暮らし 下
宮部 みゆき

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2005年1月24日 (月)

『パリのキッチンスタイル』ジュウドゥポゥム

パリのキッチンスタイル
ジュウドゥポゥム

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仕事に新しいエッセンスを加えたくて買った本。
ELLE DECO(この本の出版社が発行しているインテリア雑誌)の中でも特に、
ヨーロッパ、北欧の部屋やキッチンが紹介されているページが好き。
(だとすると、新しい傾向とは言えないのでは…と今気づいた!)

このセンスはどうやって培われるんだろう?
キッチンの壁を赤く塗る大胆さ。でも気張ってないのだ。
差し色の使い方が抜群にうまい。

仕事もそうだけれど、実生活でも役にたてたいもの。
シリーズで、子供部屋、アトリエ、バスルームなんかもある。

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2005年1月21日 (金)

『御宿かわせみ(一)』平岩 弓枝

御宿かわせみ〈新装版〉 (一)
平岩 弓枝

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言わずと知れた…。
時代小説づいているので、勢いで初めて読んでみました。
ちなみに映像作品は観たことがありません。
1973年から続いているシリーズだそうで、
コムスメにはどうこう言えませぬ。
思っていたより男女の生臭いエピソードが多かったです。
るいと東吾がラブラブ。なんだか参っちゃいますね。
異人さんが出てきたあたりで、頭の中でビジュアルが変換されてしまいました。

花の慶次―雲のかなたに (17)

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(笑)
よく読む時代小説の、池波正太郎、宮部みゆき両氏が、
むしろ外れていることを思い出しました。

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2005年1月16日 (日)

『ぬしさまへ』『ねこのばば』畠中恵

ぬしさまへ
畠中 恵

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しゃばけシリーズ、二作、三作目。
年末、実家に帰って、ゆく年来る年を観ていた。
石川県の那谷寺が映り、姉貴が、
「そういえばさあ、『しゃばけ』読んだ?」。
「あ、読んだ。新潮文庫」「続きは?」「まだー、図書館に予約中」「あるよ、読む?」「うん」
というわけで、年明け一発目に読んだ本。
聞いていたツレアイが、会話が断片的すぎてわからない、と言っていた。
姉貴と自分の間では瞬時に、那谷寺→『異国の花守」』波津彬子→ネムキコミックス
→『百鬼夜行抄』今市子→妖怪→『しゃばけ』となっている。
少なくとも子供時代は同じ本を読んで育ったので、読書傾向に共通項が多いのだ。
何故かその後、姉:マイケル・ムアコック、妹:池波正太郎、に分岐したけれど。

一作目と違い、短編集になっている。
どこか食い足りない印象もあるのだけど、
キャラクターができあがってきているので、
それぞれの背景を切なさを加えて描写した話がいい。
意外な線できた、松之助、佐助のエピソードが好き。

一太郎が手遊びにもらった、『桃色の雲』が欲しいなあ。
・拳二つ程の大きさで  ・ふわりふわりと宙に浮いていて
・ただそれだけで  ・ただの夕焼けの雲 ・お庭の木に引っかかっておった

ねこのばば
畠中 恵

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姉貴には、「お礼にセカチューあげるよ〜」と言ったら、
身をよじって「いらないよ!!」と叫んでいた。

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2005年1月13日 (木)

『ゆめつげ』畠中 恵

ゆめつげ
畠中 恵

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『しゃばけ』シリーズで大ブレイク中の著者が贈る、軽妙な和風ミステリ! 江戸は上野の端にある神社で神官を務める粗忽な兄としっかり者の弟。兄には夢告の能力があった。その噂を聞きつけて舞い込んで来たのが、大店の行方不明の一人息子の行方を占ってほしいという依頼だったのだが……。(Amazon紹介文より)

読みやすいし、江戸の情景が違和感なく伝わってくる。
夢告という神事のリアリティさに、
「超能力」への敬意と畏怖が感じられる。

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2005年1月11日 (火)

『螢坂』北森 鴻

螢坂
北森 鴻

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ビアバー香菜里屋シリーズ第三弾。短編五作。

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2005年1月10日 (月)

『青いお皿の特別料理』川本三郎

青いお皿の特別料理
川本 三郎

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Blue Plate Special…本日の定食の意だそう。 NHK出版の「男の食彩」に掲載されていた、 主に評論を手がけている作家の短編集。ほんとにそんな感じ。 日頃から口にする料理が登場し、十七編の登場人物が繋がりを持っている。 掲載誌を読んでいた人には愉しみだっただろう。 文章も登場人物も平淡だけれど(典型的な悪役だけが向こう側にいる)、 人物のシチュエーションの豊富さは、作者の年輪かな。 中央線沿線や、北海道の土地が出てくるのが、わたしには親近感。

短編集で登場人物が交わっている本。
上の本を読んでこれを思いだす人も少なかろう…。
近未来SFハードボイルド。

死に急ぐ奴らの街
火浦 功


ナツカシ〜!1987年刊行だって!
徳間デュアル文庫版が2001年刊行で入手しやすそう。
この文庫のシリーズって、銀英伝外伝の文庫を買ったことがあるけれど、
紙が悪くって読みにくい上に、元のサイズより割高になっていて最悪。
「死に急ぐ〜」だって当時のノベルズ版と同じぐらいの値段なのでは?

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2005年1月 8日 (土)

『くらのかみ』小野不由美

くらのかみ
小野 不由美

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後継者を決めるために集った親族たち。候補者の食事に毒ゼリが混入される事件が起こる。
そこに現れた座敷童子はいったい誰なのか?

函入りの本、挿絵は村上勉氏で、郷愁を誘う。
(わたしが持っている村上勉氏挿絵の
『誰も知らない小さな国』佐藤さとる は函入りです)

伝承や謎解きに重みが感じられず、拍子抜け。
あっさりさくさく話が進み、すいすい読み終えてしまった。
事件や行動が安易に理由づけされてしまうので、緊迫感がない。
不条理さの象徴、座敷童子の扱いがおざなりで勿体なかった。
子供向け本だとしたらなおのこと、半端をせずに、
いっそトラウマになっちゃうぐらい怖ーい話にしても良かったような。
(子供の頃、『怪人二十面相』江戸川乱歩 の背表紙が怖くて読めなかったものです…)

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2005年1月 7日 (金)

暮れに読んだ本のリスト

昨年末は、仕事の追い込みでひさびさにキツい思いを…。
朝まで仕事して、帰りの電車で『剣客商売』を読み返すのが楽しみだった。
いかにも池波キョウ的行動。大人になったなあ?
『暗殺者』の浪川周蔵と静のように暮らしたいと思う。
(いや、人を殺して、とかではなくって)

・『孔雀狂想曲』北森鴻
・『蛍坂』北森鴻
・『西の善き魔女2』荻原規子
・『日暮らし』宮部みゆき
・『ロケット・ボーイズ』ホーマー・ヒッカム・jr
・『ゆめつげ』『ぬしさまへ』『ねこのばば』畠中恵
・『川の深さは…』福井晴敏

我ながらエンターテインメント本ばかり。いっそ潔いかも。
(そんでもってあと三冊ぐらいは途中で投げ出してる)

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2004年12月26日 (日)

『さよなら妖精』米澤穂信

さよなら妖精
米澤 穂信

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ある日出会った、「ユーゴスラヴィア」からやってきた女の子。 彼女と自分の立ち位置に気づいた「おれ」は、彼女「マーヤ」とその背景について、知っていこうとする。

その時(1991〜1992)、高校生という年齢、彼女生い立ちなどが、
この話のための、欠かせない要素になっている。
日常的なミステリを解決する登場人物の知識量には違和感もあるけれど、
むしろ作者の断りにある大筋の解決のための情報には、問題ないと思う。
この題材で読み手が解決することは難しく、限られた人にしか可能でない
(またその限られた人には容易なことかも)。
でもこの本を読むのは謎を見破るためではなく、
成立しているそのわけを楽しめばいいと思う。
タイトルが完璧。

ところで、創元社の文庫を手に取って、なんの予備知識もなく米澤さんの本を読み始めた。
スニーカー文庫からデビューしたこともあって、
男性読者の方が多いことにようやく気づいた。
自分たちだけの、内緒にしておきたいような作家さんかもしれないけれど、
こういう新参者の読み手が増えていくハズ。

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2004年12月21日 (火)

『世界の中心で、愛をさけぶ』片山恭一

ついに読んだ!
これでこの作品について語る資格ができたぞ!
といっても、語ることは特にないのだけど。
所要時間は四十分。
十年以上前には、こんな本がよくあった気がする。

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2004年12月19日 (日)

『春期限定いちごタルト事件』米澤穂信

春期限定いちごタルト事件
米澤 穂信

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小鳩くんと小佐内さん。中学三年の夏からの互恵関係。 同じ高校入学を決め、あることを誓い合った二人を試すかのような事件が続いていく。

通りすがりに手に取った書き下ろしの文庫本。ちょうど発売日だったようです。
けっこう早い時期に読んで感想がアップできるのって、なんだか嬉しいものです。

日常を舞台にした殺人の起こらないミステリ、軽妙な文章で楽しめました。
(つい先日、同じカテゴリの本を読んでぶん投げてしまったのもあるかもしれません)
小規模ながら、事件が成立していく過程、ちりばめられたエピソードを
連作の中から自分で読み出していく楽しみがありました。
登場人物の気持ちや行動がきちんと裏打ちされていて、昇華されていきます。
(本人たち的には昇華どころか高校生活はまだまだこれから、なのですが)
小道具のケイタイの扱い方が自然でいいです。
高校一年生にしては老成している二人、それにも理由あってのこと。
過去も知りたい気がするけれど、続きが楽しみな二人です。

これから米澤さん作品を、読みあさろう。
「このミス」に20位に入ってる作品もあるのね。うきうき。

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2004年12月14日 (火)

『緋友禅』北森鴻

緋友禅―旗師・冬狐堂
北森 鴻

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冬狐堂シリーズ三作目。
表題作で、売れない作家の面倒をつい買って出てしまう陶子、というのを読んで、
かなり前の作品であるけれど、マンガの『燁姫』 佐伯かよの を思いだした。
(調べてみたら、アマゾンでも新品では売ってない…。わりと好きだったのだ)
画商や骨董商が、採算を度外視して、
自分の好みに走ってしまうエピソードは、なにかほっとしてしまう…。
「なんでも鑑定団」(笑)で、無名の作でも、可愛かったり美しいものに高値がつくのと同じ嬉しさ。
こういったオロカしい部分が、わりと良くでている短編、中編集。
良き理解者、友人の硝子さんの存在が羨ましい。
(というか、北森さんはこの人を主役にして書くつもりもあるのかしら…?)

北森さんの作品を読むきっかけになった、
感想という名の茶飲みばなしさんと、
Diary of 食・飲・読・旅・潜・泊さんへTBさせていただきました。

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2004年12月11日 (土)

『占い師はお昼寝中』倉知淳

占い師はお昼寝中
倉知 淳

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あんまりな内容なので、読んだことを忘れるところでした。
読みやすいのはいいのだけど、バカにされている気分になってしまいました。
うーん、ムカムカ。

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2004年12月 9日 (木)

『狐闇』北森 鴻

狐闇
北森 鴻

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冬狐堂シリーズ二作目。 巻き込まれ型の陶子、今度は鑑札も運転免許証も取り上げられてしまう。 始まりからして悲惨なので、これが結末だったらどうしようかと(笑)

前回に引き続き、もの造りにたずさわる人たちへの
作者の敬意と願いが感じられる。
香菜里屋、雅蘭堂、蓮丈那智など出揃って、オールキャストの勢い。
その割に、前作の事件にまつわる登場人物は切っているのが潔い。

一作目でも思ったけれど、パソコンやネットの機能について、
妙に詳しく説明してあるのは、ちょっと前の作品だから?
あっという間に、それが当たり前の世の中になっちゃったんだなあ。

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『狐罠』北森鴻

狐罠
北森 鴻

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店舗を持たない骨董業者、旗師「冬狐堂」の宇佐見陶子。
仕掛けられた目利き殺しに対し、返礼を画策するうちに、
警察からの訪問を受ける。さらなる罠にはまったのか?

実際の骨董の世界に縁があるわけではないけれど、この手の題材は好き。
この本にも、たくさんの情報がちりばめられていて、ふむふむと読んでいた。
(これで『ギャラリーフェイク』『雨柳堂夢咄』以外の知識の源が!)

厚めの本だけれど、とても読みやすい。
「女だてらに」がんばる陶子が、次々に成功していく、
なんてお手軽話でないのがいい。
それこそ、手間ひまかけて、骨身を削って罠を仕上げていく。

その情報量と、キャラクターのアクの強さで、
肝心のミステリの部分が薄まってしまった感が有り。
主人公の陶子、自意識が強い割にどうもツメが甘く、女臭さがもどかしい。
男の人には「可愛げのない」ように見えるところが可愛いんだろうなあ。
でも、もっと精進してよと、とりあえず応援。

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2004年12月 3日 (金)

SAY HELLO!

誕生日を過ぎて、ポストに届け物があった。
梱包する前に書いたらしく、封筒が折り込まれてしまって差出人名が隠れてる。
でも、宛名の字ですぐにそれとわかる。
六月に結婚して以来、初めて姉貴の手で新しい姓が綴られていた。
サイズは、ちょうどお菓子の箱ぐらい。
姉貴から自分宛。本だな、と見当がつく。

プレゼント用のラッピング、可愛いな。
お、ワンコの本だ!イトイさん?ほぼ日?イワサキさん???
ほぼ日さんのひとつのコンテンツだった"SAY HELLO!"をまとめた本だった。

say_hello_three.gif SAY HELLO!

契約書店では、12月10日販売開始とのこと。

Say Hello! あのこによろしく。
イワサキユキオ 糸井 重里

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お薦めです。だいぶ泣いちゃいました。
オビにあるような、ろくでもなかった日が乗りきれました。
おねえ、完璧なプレゼントです。ありがと。

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2004年12月 1日 (水)

編集者

『王妃の館』には編集者が三人でてくる。
浅田さんの本には、よくでてくるこの職業の人物。
エッセイには身近な編集者、『プリズンホテル』シリーズには、
「定年までずっと、ノベルズ版でも<仁義の黄昏>を売り続けたい」と語った荻原みどり。
その他、思いつくのは,『Papa told me』榛野なな恵 の北原ひとみ女史。
「なかなかがんばっったの どうしても 文芸誌の編集者になりたかったの」の台詞。
文学とどうやって関わっていくか、人それぞれの道があるわけで。
いずれも作者の編集者を見る目は、温かく敬意のこもったもの。

『覆面作家の愛の歌』北村薫 に登場するのは半数近くが編集者。
この本の「あとがきにかえて」で紹介されている北村さんの担当さん。
登場人物のモデルともなり、編集者としてのあり方のひとつを示されている。
亡くなられて後、担当をされていた 『アルスラーン戦記』田中芳樹 は
再開までにかなりの間が空いたと聞いた。
作家と編集者の関係は、個人の能力によって大きく変わる。

こんなことを思いだしたのは、会社の出版関係担当者の阿呆さ加減に参っているから。
素材足りてないよ、コラ!
解像度バレてるよ、コラ!
納品日に休むなよ、マジかよ、コラ!

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2004年11月30日 (火)

『王妃の館』浅田次郎

王妃の館〈上〉
浅田 次郎

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150万で組まれた、フランス「王妃の館」への宿泊がかなうツアー。
同時に同じ企画を同じ旅行会社から20万で。
二つのツアーは交わってはならないのに、次第にその計画が破綻しはじめる。

かなりの人数の登場人物が、ドタバタしながらも、悩み、苦しみ、そして大団円に辿り着く。
そこにフランスは十四世紀、ルイ十四世まで絡んでくるという…。
浅田さんの照れ屋なペテン師ぶりが発揮されている、
『プリズンホテル』テイストな本です。
比べると、この本の場合は登場人物のおかれた境遇が
自分たちで選択してきた結果ではあるので、理不尽さがさほどでもないように感じます。
浅田次郎≒木戸孝之助≒「遅筆な小説家」が出てきます。
例によって編集者に取り囲まれながら。
これはキャラクター造形がワンパターン、なのではなく、
「小説家」を配置すると、自己投影したキャラになってしまうのではないかと思います。

Diary of 食・飲・読・旅・潜・泊さんへTBさせていただきました。

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2004年11月25日 (木)

『しゃばけ』畠中恵

しゃばけ
畠中 恵

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江戸時代、大店の若だんな一太郎は、人の目にも映る妖怪や映らない妖怪と共に暮らしている。
ある日殺された職人の男の死体を目撃し、犯人に追い掛けられるはめに。
なんとか逃げ延びたその翌日、死体の首はなくなっていた。

若だんなは蒲柳の質のぼっちゃん。仕える手代二人は妖怪。
向かいの和菓子屋の跡取りは幼馴染み。
それぞれの事情は理由があって、だんだん明らかになっていくのだけど、
なにしろ主人公の一太郎の体力がなくお育ちも良いので、
本全体がのんびりした雰囲気に包まれている。
事件の成り立ちや解決そのものに目新しさはなくて、
人や妖怪が関わっていくありさまが楽しい。
人ではないものが存在することを若だんなだけでなく、
この世界、時代の人たちは前提条件として呑み込んでいる。それがよかった。
続きも出ているので、期待。

*second massage*さんに紹介してもらった本です。ありがとうございました!
Diary of 食・飲・読・旅・潜・泊さんへTBさせていただきました。

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2004年11月23日 (火)

『つるばら村のパン屋さん』茂市久美子

つるばら村のパン屋さん
茂市 久美子

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児童文学です。つるばら村シリーズとして、4冊出ています。

つるばら村に住む、パン屋のくるみさん。
今はまだ宅配のみだけど、そのうち駅前にお店を構えるぞと夢を持ってます。
人ではないお客さんがやってくるパターンに陥るのかと思いきや、
ライバル店ができたり、気にかかる人ができたり、案外バラエティに富んでます。
なんにしてもくるみさんが心をこめて作る、パンの数々。
はちみつパン、どんぐりのパン、つるばらジャムのパンなどなど、
やわらかそうでおいしそうです。品のいい甘さなんだろうなあと、想像。
パン屋の名前は三日月屋さん。
由来となる三日月パンが、説明があるまでなんのパンだかわかりませんでした。
「うすい羽根を何枚もかさねたような」三日月の形をした、アレでした。
中村悦子さんの挿絵が雰囲気あって好きだったのですが
(絵のかけるだんなさん曰く、
「うまいねー、味があるだけじゃなくて、パースにきちんとのってるよー」なんだそうです)、
ストーリーが分岐した4冊目から違う方の手になってしまって残念。

空猫の読書さんへTBさせていただきました。

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2004年11月17日 (水)

『西の善き魔女Ⅰ』荻原規子

西の善き魔女〈1〉セラフィールドの少女
荻原 規子

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天文台の博士である父を持つフィリエル。 女王生誕祭祝日の日、初めての舞踏会へ行く彼女は自分の出生と対峙することになる。

文庫になっていたので、手に取ってみました。シンプルな造りで好ましい。
偏屈な父と勝ち気な村娘、舞踏会、貴族の息子、次期女王の後継争い。
ありきたりでも性別女性にとっては心惹かれてしまう題材なのかしらん。
ぐいっと読めてしまいました。
わりと容赦ない境遇だったり状況だったりするのが、
読者層を拡げる要因なのかもしれません。
版を替えて三度目の出版。幸せな本ですね。
編集の方も嬉しいんだろうなあ。
(『プリズンホテル春』の、編集みどりさんの言葉を思いだしました)
文庫は隔月で出版される模様。
既刊で完結しているノベルズ版で一気に読むこともできるけれど、
のんびり追っかけていこうと思います。
これも大人買いの一種かも…?

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2004年11月13日 (土)

『触神仏』北森鴻

syokusinbutu.jpg
Amazon
<蓮丈那智のフィールドファイル2>の副題有り。したがって続き。

民俗学の仮説を立てた上、ミステリを絡ませるって、
どれだけ大変なことなんだろう…。えーと、二度手間?(語彙がない)
学者が探求するに足らない仮説といっても、
少なくとも一般人にはそんな知識すらありません。
だいだらぼっちの通説も初めて知りました。。ふ〜ん。

ミクニのへたれっぷりがどうにもおかしい。
本当に研究者として見込みがあるのか、危ぶんでしまいます。
「悪いが君の後には着いていけないよ」。
反対に、狐目の株が上がる本です。
キャラ>民俗学>謎解き、でした。

感想という名の茶飲みばなしさんへTBさせていただきました。

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2004年11月11日 (木)

『ささやかな魔法の物語』村山早紀

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曾祖父の時代から続くカフェかもめ亭。
おいしいお茶をいれてくれる若い女性のオーナーに、
訪れた客が問わず語りに話を始める。

児童文学です。村山さんの作品の中では若干大人向けのつくりなんだそうです。
不粋を承知で云うと、立原えりかさんや熊井明子さんを思い出します。
基本的にはタイトル通り、魔法使いではない人が、ささやかに魔法を起こしたお話。
オーナー自身の物語が語られるのはラストの一遍のほんの少し。
シリーズになって、もっと多くのエピソードを読めれば嬉しいな。

空猫の読書さんへTBさせていただきました。

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2004年11月 9日 (火)

『桜宵』北森鴻

sakurayoi.jpg 
Amazon
『花の下にて春死なむ』続き…というか、連作継続中。

前作ほどの緊迫感、重たさはなくなってました。
登場人物がゆる〜く繋がっているので、そこがお楽しみかも。
(しかし七緒さんの結論は流されていた…というよりそれが結論?)
プロフェッショナルバーのマスターのキャラクター、
ゴツくて繊細な男性ってなんか好きだなあ。
工藤さんとの友情…?関係は、羨ましいような感じです。
謎解きより、やっぱり料理がメインになっちゃう本ではあります。
工藤さんが料理を作ってくれるお店があるのなら、
通いつめます。(ほぼ下戸なんだけども)
三作目は『螢坂』です。

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2004年11月 8日 (月)

『メインディッシュ』北森鴻

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Amazon
なんとか黒字経営の小劇団の看板女優「ねこ」。
彼女が雪の日に拾った「ミケ」さんと暮らすうち、
偶然がかけあわさり、過去の事件を呼び起こす。

ミケさんは料理上手な男なのです。
ねこが連れて帰ってくる劇団員たちにふるまうごちそうのおいしそうなこと。
それぞれ登場人物に個性はあるのですが、料理の前には霞む…。
事件自体も「偶然」がちょっと都合良くて、やっぱり霞む。
料理と、妙に乙女ちっくなねこさんを微笑ましく眺めているうちに本が終わります。
ほのぼの。

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2004年11月 7日 (日)

『シルバーレイクの岸辺で』ローラ・インガルス・ワイルダー

ingulls.jpg
 Amazon(画像とタイトルが違います…画像は『プラム・クリークの土手で』。色が綺麗で可愛くて好き)
TB企画 「食欲の秋? おいしそうな食べ物が出てくる本を教えて!」本好きPeopleさんからのお題です。
インガルス一家の物語シリーズは、いろいろなことを知った本でした。
百年ほど前のお話だから、日々の関心ごとは衣食住に直結していて、
それぞれの描写は執念深いほどのためか、記憶に焼きつきます。
ピクルス、メープルシロップ、コーンミール、オートミール、エッグノック…。
子供には耳覚えがないものばかり。成長するにつれ、実物にお目にかかるたびにひそかに感動してました。
鹿の肉、熊のもも肉、豚のしっぽ焼き、むくどりのパイ、うさぎのローストなんかはいまだに食べてません(笑)
西部開拓時代、ローラたちも大きな森(ウィスコンシン)から南下、さらに西へと移動していきます。
それぞれの土地で厳しい暮らしをしていく途中、
『シルバーレイクの岸辺で』(サウスダコタ)では、一冬を「開拓技師の小屋」で過ごします。
備蓄された食料や、土地での狩猟が恵まれていて、
比較的穏やかで豊かな冬を楽しんでいる様子が温かく、シリーズ中特に好きな本でした。

今にして思うと、なんでニューヨークの豪農の息子のアルマンゾが、
サウスダコタまでお兄さんと移動しているんだろうとか、
インガルス一家ってアイルランド系だったのかなあとか。
(解説本も読んだこともありましたが、これは余計。物語にとどめておくのがいいデス)
ここ1〜2年で、福音館からシリーズ前半5巻までが、文庫で出版されています。
読み返すにはお手頃です。
それはそうと、訳者が違うと本の雰囲気が変わる、
このことを実感した初めての本でした。同じ体験の方、さぞかし多いことでしょう。
挿絵はガース・ウィリアムズで読みたいし、という葛藤と共に…。

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2004年11月 4日 (木)

参加

本好きPeopleさんに登録していただきました。
blogの使い方と共に四苦八苦。
でも楽しそうです。
それにしてもMac使いは不自由なことよ…。
(知識があればそんなことないんでしょうけど。半端だから…)

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2004年11月 3日 (水)

『木曜組曲』恩田陸

木曜組曲
恩田 陸
4198917590

四年前に事故死した、女流耽美小説作家。
彼女に関わりを持つ五人の女性が彼女の暮らしていた館に集まり、
そして死にまつわる謎が話題となる。

身内同然の女五人が集まって、飲む、食べる、喋る。それが楽しい本。
なかでも、「スパゲティを茹でる男」の法則、これがおかしくって。
生半可に料理ができると自負し、特にトマト系の料理を得意とする男は危ないと。
うんうん。そうかもー。
この段落、木曜日の夜・3は賑やか。
男性読者はどう受け止めたのかなあ。
恩田さんの本の中では、わりと謎解き
要素が強いように思う。

葉兎の本棚さんへTBさせていただきました。

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2004年11月 2日 (火)

『花の下にて春死なむ』北森鴻

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ビアバー「香菜里屋(かなりや)」に訪れる人々の日常と事件を
魔法仕立ての料理を提供する、マスターの工藤が見つめる、連作ミステリー。

三作まで出ている状態で読み始めたので、お得な気分。
まだまだ楽しみが持続できそう。
この本の場合、「過去との対峙」がポイントかな?
本文中に池波正太郎さんを思い起こさせる記述が数カ所出てきて、
終いにはお名前まで登場するので、北森さんはファンなのねって。
(と思っていたら、別の本『メインディッシュ』は
 エッセイそのものが引用されていて謎解きになってました)

*second massage*さんへTBさせていただきました。

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2004年10月29日 (金)

『凶笑面』北森鴻

kyousyoumen.jpg

<蓮丈那智のフィールドファイル1>の副題有り。
大学の研究室に所属する異端の民族学者蓮丈那智(美貌)と、
助手である内藤三國のフィールドワークと、
ともなって遭遇する事件の数々。短編集。

シチュエーションやキャラが生かされている本で、面白さに厚みがあった。
特に「不帰室」が白眉。この密室はよくできてるー!決着も安易でなくて好き。

女王様と下僕、の発想で『ドラよけお涼シリーズ』田中芳樹 を思い出したけれど、
立ち位置と性格が違うと変わるものだなあ。
ミクニの今後が楽しみ。

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2004年10月27日 (水)

『世界音痴』穂村弘

4093873739世界音痴
穂村 弘

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歌人である穂村弘さんのエッセイ。
普段接することのない短歌(自作に限らず)が文末にそえてあって、
この人の短歌に対する、造詣(そりゃそうだ)や愛情が伝わる。

もうおうちへかえりましょうがすごく面白くて、
この本もそうなのだけど、↑の方がこなれているよう。
エッセイだって進化するのだから、物書きってスゴイ。

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2004年10月23日 (土)

『雨柳堂夢咄』波津彬子

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『雨柳堂夢咄』波津彬子 朝日ソノラマ刊

2004年10月23日現在、10巻まで刊行されています。
そんなにマンガを読むわけでもないのですが、ずっと読んでいるシリーズ。
1巻の刊行からなんと11年たってます。ひえぇ(ソリャアトシトルワケダ)。
骨董屋のおじいちゃんを手伝う健気な孫や、三文ペテン師や、もののけが出てきます。
キャラクターに親しんでいるからこそ、沁みる話が増える、シリーズの醍醐味。
下の欄と同じ形にしてみます。

suminiyaの「好き」。
つかず離れずの心地よい人間関係。
綺麗な話が多いけれど、実は題材にタブーがなかったりする意外性。
丁寧な絵の白黒のバランスが美しい。

「夜の子供」(眠れぬ夜の奇妙な話コミックス2巻)
モノローグや会話の入り方のテンポがよくて、
自分の中で大事にしたくなるようなお話。
「京助氏の災難」(眠れぬ夜の奇妙な話コミックス3巻)
どういう理由かわからないけれど、
波津さんがこういう化け物を描いている間はだいじょうぶ、などと勝手に思う。
「花の寺」(眠れぬ夜の奇妙な話コミックス5巻)
ちょっと泣ける。不細工な蛙がけなげで可愛い。
「午後の清香」(眠れぬ夜の奇妙な話コミックス9巻)
うまくひとつずつのエピソードがはまるのが気持ちいい。
茶壺の精が可愛くて、見える相手が限定されているのがポイント。
ショートだと、
「月の花影(3)」「花野(5)」「新月の客(5)」。
波津さんの作品の「カケアミ」処理はとっても美しい。

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『百鬼夜行抄』今市子

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『百鬼夜行抄』今市子 朝日ソノラマ刊

2004年10月20日、12巻が発売されました。
suminiyaの「好き」。

霊感があることを売りにせずに、日々どう過ごしていくか。
妖怪もの(?)だけれどひたすらゆるい。
今市子さんの絵がうまくて、着物姿や古くからの風習、道具など、
さくさく描かれている。
サザエさん状況にならず、移り変わっていくシチュエーションも楽しい。

「言霊の木」(眠れぬ夜の奇妙な話コミックス3巻)
律、司のそれぞれの性格と妖怪との接し方の違いがおかしい。
そしてお母さんのラストの締めがイイ。
「反魂術の代償」(眠れぬ夜の奇妙な話コミックス3巻)
ラブラブな晶と三郎の、陰に潜む切なさが見え隠れ。
「魔の咲く樹」「返礼」(眠れぬ夜の奇妙な話コミックス8、9巻)
けっこう残酷な話だ…、怖いし。
律が時間軸を移動しているのが印象的。

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『姫椿』浅田次郎

4167646048姫椿
浅田 次郎

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「凍てつく心を温める短編集」と書かれた帯が巻かれてる。

最初と最後の短編が良かった。本の構成って大事だなあ。
『鉄道員』『月のしずく』ほどのインパクトはなかった。
わたしが思う浅田さんの二面性…、
詐欺師のように優しい部分と破滅的な衝動の部分が、
極端に出ていないせいかもしれない。

一見(一読か…)投げっぱなしのようなのに、
実は話の中できちんと暗示、提示されている辺り、
直木賞作家の由縁。大衆文学ってだから好き。

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2004年10月20日 (水)

『犯人に告ぐ』雫井脩介

4575234990犯人に告ぐ
雫井 脩介

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連続自動殺人事件に対する警察の試み、劇場型捜査。
一度一線からの退場を余儀なくされた刑事が臨む。

推理小説というより、刑事小説だった。
(当然短歌や俳句でもない←10月17日の日記による)
ちょっとしたボタンの掛け違いで、
巻島刑事が言質をとられてどんどん追い込まれる
1章目の描写がよかった(切なくて辛いけど)。
警察組織や人間関係にリアルさがある分、
後半の荒唐無稽さに若干違和感があるけれど、
充分おもしろかった。
帯の推薦文の(伊坂孝太郎さんの)通り、一気読み。

Manaのありふれた日常日記さんへTBさせていただきました。

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2004年10月17日 (日)

『春になったら苺を摘みに』梨木香歩

4104299022春になったら莓を摘みに
梨木 香歩

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梨木さんの書き下ろしエッセイ。
著作に出てくる、
「下宿」「外国籍の人」のわけがなんとなくわかる。
梨木さんにとっては自然のことみたい。

普段はせまい世界にいる自分が知らないだけで、
いろいろな人が、いろいろなところで、それぞれに生きている。
躊躇なくそれらと、いろいろな形の関係を築いている人もいる、と。

なかなか軽くないエピソードが多いけれど、それだけに、
『囁き声の アイ ラブ ユー』がとても綺麗な情景。

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本屋にて

hannnin1.jpg

穂村弘さんのエッセイを探してました。
短歌、俳句のコーナー。
何故かあったこの本。
「うん、これはそういうことだな」。
買って帰りました。
素直だから。

hannnin2.jpg

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2004年10月 4日 (月)

『西の魔女が死んだ』梨木香歩

4101253323西の魔女が死んだ
梨木 香歩

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どちらが正しいとか間違っているとか、
決めつけずに進むところがバランス良くて好きです。
こういう児童書を子供の頃に読むと、
なかなかいいかもしれません
(その時には疑問に思うかもしれないけど)。
ただ、死後の世界については、
安易に語らない方がいい昨今なので、
そのあたりの判断は必要でしょうが。

食べ物や毎日のお洗濯などの日々の暮らしが、
昔ながらの段取りで描写してあって気持ちいい感じです。
『ドライフルーツをふんだんに使った
 どっしりしたパウンドケーキ』が食べたくなります。

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2004年10月 2日 (土)

『グラスホッパー』伊坂幸太郎

4048735470グラスホッパー
伊坂 幸太郎

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帯と内容が不釣り合いの気がする…。
(「でも僕は戦おうと思うんだ、
    君との記憶だけを武器にして」〜まあ確かに本文にあるけれど)
編集者的には仕方なかったのかな?

登場人物の軽妙なやりとりが楽しく、
最後まで一気に読めた。
伊坂さんて、人の心の暗部の描き出し(ギャップも含めて)に
執着しているように思うので、天気雨みたい。
本作は題材が嬉しくなかった。
嫌悪感までいかないのは、雰囲気づくりのおかげではあるだろう。

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2004年10月 1日 (金)

『ハチミツとクローバー』羽海野チカ

上司兼友人が貸してくれたコミック…。

ある人物を評して、
「青春再放送をみせつけられている気分」
という台詞があって、全編がそんな感じ。
でもこの再放送は、楽しくて一所懸命なので、
どーうせ青春スーツを<引用
(思い込みまちがった自信嫉妬未練熱血…)
脱ぎ捨てる日がくるのなら、
このぐらいやっておきたかったと思うのです。

洗練されていない絵でも、充分伝わってきます。
能書きよりもまず表現が大切、としみじみ感じ入りました。

身の丈180cm体重0.1tの上司兼友人、ありがとう。
…奥さんに借りたの?

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2004年9月27日 (月)

『太陽の簒奪者』野尻抱介

久しぶりにSFを読みました。
さっぱり意味のわからない用語や理論だらけでしたが。
時間経過の早いお話のせいか、なんとか面白く読めました。
(なので、素人にもわかりやすく書いてあったのでしょう…)

登場人物の心理描写を受け取ることはできますが、
共感には至らない…。
生身の人間ではないかのような、遠い存在に感じました。
ヴァル・キルマーなら四文字言葉を残して無理矢理帰還するよぉ!
(映画『レッド・プラネット』です、超B級映画。好きなんだ…)
いろいろなものを切り捨て選択していくヒロインに対して、
『あたまいいひとってたいへんねー』って。
情けない感想だけれど、そういう人にこそ、
何もかも手に入れて幸せになって欲しい気がするんだもーん。

この本に対して、こんなに軟弱なコメントをしていいのだろうか…。

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2004年9月24日 (金)

『もうおうちへかえりましょう』穂村弘

歌人である穂村さんのエッセイ集。面白かった!
「大島弓子」「キャプテン」「松任谷由美」
「村上春樹」「リンダリンダ」
こういったものがキーワードになる、そんな世代。
バブルの時を通り過ぎたことを否定的にとらえず、
うまーく消化している記述があって、『はーなるほど』。
すごく共感できる部分もありつつ、
でも違う場所に住んでいる人の気がします。
どきどき、そわそわしながらも、本人が語るより、
頑固で(悪い意味でなく)強い人なんだと思います。

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2004年9月18日 (土)

ノーラ・ロバーツ

ロマンス小説家です!
数冊読んだことがあります!

もともと連作の本が好きです。
本屋をぶらぶらしていて、
新しく創刊された文庫シリーズを手に取りました。
『ハウスメイトの心得』。
当時、ルームシェアに興味があったので、
さすがのアメリカ、規模がでかいなーなどと思いつつ、
連作のもう一冊も購入。

まだ気づいていなかったので、
読み進めながら、「なんかすごい小説だなー」。
読み終えて、奥付を見た時に合点が。
『MIRA文庫 発行 ハーレクイン社』
わぁっ!
(「ハーレクイン」て社名だったんだー、と感心もした)

納得して連作も読み、ある法則を発見し、
さらに他の文庫のシリーズも(笑)読んでみました。

・登場人物は美男美女(あるいは個性的で魅力的な容姿)
・おつきあいはまず肉体関係からスタート(この際、お互いそのルールを了解)
・濡れ場は三回以上(ルールに対する感情の変化が三度目以上の『最中』に起こる)
・ラストは結婚(というか求婚)

ちゃかしているわけでなく、これがお約束として納得できるなら、
読みやすくて、外国の暮らしの実際に触れられるし、
「ボルチモアってどんなところなのかな」
出張が決まった友人に、
「ちょっと離れたチェサピーク湾で牡蠣を採る船は、帆船に限定されている」
などと偏った知識を授けることができます。
メル・ギブソンがレネ・ルッソに聞いた、
「僕は君をエベレストの頂まで運んだことがあるかい?」的文章も読めます。
(『リーサルウェポン3』。台詞は不正確です)

それにしても、偶然からすごい驚きを手に入れたことよ。
ちなみに、このジャンルの他の作家さんが同じ法則かはわかりません。
読んだことがないので。まだ。

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2004年9月15日 (水)

『森のうた』岩城宏之

最相葉月さんといえば有名な著作『絶対音感』。
自分の持っている絶対音感がなくせないかなーと、
読んだことがあります。
(自然に消えるのを待つぐらいしかないらしい…)

音楽の道を志しているわけではないので、まさしく無用の長物。
それに音痴なのです。
絶対音感と音痴の両立。
あり得なさそうですが、指揮者山本直純氏も同様だったそうな。
国際的な指揮者で、氏の友人でもある岩城さんのこの本に記されています。
大学時代の思い出をつづった本で、
日常的な破天荒さが爽快。ちょっと泣ける話も有り。

不便なだけだし、絶対音感のない音楽関係者は多数いますから、
世のお父さんお母さん、絶対音感は無理に子供に与えないでください。
カラオケで上手に歌える方が得です。

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2004年9月14日 (火)

『なんといふ空』最相葉月

女性のエッセイ集にしては、
自己顕示欲や不平不満、見栄なんかが
(自分に覚えがある分イタイ)、
あまり鼻につかない、綺麗な文章でした。
けっこう辛いことも書いてあるのに?

作者像に、
「達観」あるいは「客観」の言葉が思い浮かびます。
ノンフィクションライターという職業柄なのか、
仕事や生活の年輪による自信のあらわれなのか。
羨ましくもあります(始終じたばたしてるから…)。

映画『ココニイルコト』のもとになった文が入ってます。
わりと短い文なので、ここからどう膨らませたのか、観てみたいかも。

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2004年9月13日 (月)

『はじめの一歩』森川ジョージ

漫画も読みます。
学生の頃は漫画の方が本より多かったかも。
だんだん淘汰されていって、これが残った…。
もう70巻に達しようとするところなので、
本棚の一郭を男らしく占領してます。
ボクシングの知識は全てここから。
たまーに夜中にやってるダイナマイトグローブも観たりするけれど。

ippo.jpg

かの輪島功一氏をお見かけしたことがあります。
スーツを着ておいででしたが、
肩幅広く、背筋がピッとして、なかなか格好よいお姿でした。

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2004年9月11日 (土)

『裏庭』梨木香歩

とても綺麗なビジュアルイメージが湧くシーンが
幾つもある本でした。

読みながら(文庫版で)、なにか違和感を感じてましたが、
解説を読んでいて、「そうだ、児童書だったんだ」と。
しいて書き分けているかどうかはわかりませんが、
設定や描写がとても柔らかい。
とはいえ、美しいお伽話になっているわけでもないので安心。
子供が読んだら、どんな感想になるのかな…、
印象深く残る本かも。

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2004年9月 5日 (日)

『六番目の小夜子』恩田陸

4101234132六番目の小夜子
恩田 陸

by G-Tools

何故だかずっと手が出せずにいて、←たぶん怖そうだから(笑)
やっと読みました。
(『球形の季節』でなんだかおさまらなかったもので…)

魅力ってこういうものかな、と思います。
矛盾や荒っぽいところがあっても、ぐいぐい引っ張ってもらえる。
決着への意思が感じられました。
『光の帝国』の次に好き。

『象と耳鳴り』ってここから派生してたのね…。
全くばらばらに読んでいるだけに、頓珍漢。

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2004年9月 4日 (土)

『球形の季節』恩田陸

恩田さんの本は、目についた時に買ってます(文庫で…)。
なので、今さらなのですが。

とても文章の上手い人だから、読んでる時は面白いんですけど。
読み終わった時まで面白い作品って少ないかも。
『月の裏側』…だなあ。
(というより、刊行順からすると逆ですね

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2004年9月 3日 (金)

『夫婦公論』小池真理子 藤田宜永

NHKの番組(『今夜は恋人気分』だっけ…?)に
著者のお二人が出演していたので、思い出しました。

基本的にはとっても仲の良いお二人なわけで、
そんなことはこの本を読んだり、話をしていればわかると思う。
男性司会者がこの夫婦のあり方について、
理解しようとか許そうとかがんばっていたけれど、
考え込んでしまう人には無理なんだよなー(この本、読んでなさそう。不勉強ね)。
なんでも自分の身に置き換えればよいわけでなく、
人それぞれ、ということもある。
でも、二人が夫婦という関係は固定、恋愛は自由としているのは、
恋愛の相手になった人には失礼な話なんだけど。

あぁ、本の感想になってない…。
一読する価値有りの本だと思います。
ちなみに独り身の頃に読みました(笑)。
今、実践していることもあったりします。

著者名が、単行本と文庫本で並びが違います。
そういうところも可愛い。

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2004年8月24日 (火)

『亡国のイージス』福井晴敏

男の人が好きそーうな本。
だんなさんがかなり気に入って
薦められたこともあって読みました。
なるほど、面白いです。
(軍事兵器の意味や機能はさっぱりでしたが)
典型的なキャラクター設定であっても、
そこに意味を持たせているところがいいです。
「才能」に対する記述に共感してしまいました。
ファーストシーンから繋がるラストシーンは、
評判どおり胸のすく思いでした。

映画化されるそうですが、
『ホワイトアウト』のような薄っぺらい
人物描写にならないことを祈ります。
余計な女性キャラを出して媚びたりしないで欲しいな。

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2004年8月22日 (日)

十二国記(TVアニメ版)

たまたまテレビをつけたら、
『風の海 迷宮の岸』のあたりのお話をやっていました。
うーん。うぅぅぅん。
原作の台詞だけを拾った上っ面だけの作り。
もったいなーい!すっごく面白くできるはずなのに!
アニメ版の制作に関わる演出さんは、
原作を読むことが条件らしいんですけど。
読んでないのかな…。
かけ離れすぎて、イメージが壊れるまでに至りませんでした。

なんで陽子の肌はどす黒いの…?

とは言え、原作が好きだからこその感想。
素の状態で見た人がどう感じるかはわかりません。
あの、異様な舞台設定が目新しく映るといいのですが。
(異様さもだいぶソフティケイトされているけど)

エンディングの曲が、zabadakみたいだなーと思ったら、
吉良さんが担当でした。耳に残ります。

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2004年8月13日 (金)

『語り女たち』北村薫

短編集って、一つだけでも自分の腑に落ちるものがあれば
良いと思うのですが、そう言う意味で充分な一冊でした。
『梅の木』なんて、もうたまらない感じ。
一遍というより、一文だけで充分。泣きました。
よくよく考えてみると、『水虎』の逆転の発想はつくづく素晴らしいです。
この二遍がお気に入り。

ところで『わたし』の続きは出ないんだろうか…。
みっともない恋愛の痛さを通過してほしいものです。

トラックバックで読書三昧さんへTBさせていただきました。

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2004年8月10日 (火)

『チルドレン』伊坂幸太郎

発売されてから、ちょっと経ってしまいました。
「良かった、前作より面白かった」と安心。
ラストへ向けての集束感、乾き方がほど良く。
まさにデパートの屋上のようでした。
伊坂さんの本の中では2番目に好き。
でも、直木賞をとるほどの本ではないと思います…。

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